【東京に原発を!】広瀬 隆 著
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毎日1分!朝活読書。
vol.304 2011年7月15日配信
『東京に原発を!』
広瀬 隆 著
JICC出版局
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『原子炉は、ある年月使用すると、老朽化して
使えなくなる。その寿命は50年とも言われていたが、
実際に使ってみると、30年ではないか、
と危ぶまれるようになり、現在では20年が
定説になっている。』
本文より
▼「書いてある通りの行政の動き?」
1980年に発行された本です。
30年前の日本における原発の実体と
東京に原発を建設するとどうなるかということを
シュミレーションした一冊です。
シュミレーションと言っても荒唐無稽な
理想論ではなく当時の補償金や税金、
処理問題を掘り下げて研究した内容になっています。
原子炉のエネルギーの20パーセントしか使われず
あとの80パーセントは持て余して
冷却するだけになっている実状や
実際に処理しきれない問題、直径4メートルの
燃料棒が3㎜間隔で並んでいて接触事故の
起きやすい構造なども詳しく解説されています。
またこの本で驚くのは
もし原発事故が起こった際の
原発内部、行政、住民などが
時間経過でどう動いてゆくのかという
図解です。
まるで今回の報道かとおもうほど
そのままの流れで動いていることがわかります。
この本では東海村で原発事故が
起こった際という設定になっていますが、
大量の放射能雲(色もなく目に見えない)
が発生したのち異常事態が発表された後の
ながれは予言書と思うほどリアルです。
また処理に関しては時間だけでも
100年200年で処理できるものでないという
エネルギーの強さも丁寧に解説されています。
30年前にどういう指摘がなされ
現実にどういうことが起こったのか
知るためには最適な書物です。
また現実的に事故が起こった際、
防止する手立てが用意されていない
ということも確認できます。
当時(1980年)の額で110億円の
補償金が支払われた宮城県女川町の町長が
満面の笑顔で挨拶している報道写真も
紹介されています。
ぜひ読んでください。
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▼編集後記
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
今日もありがとうございます。
森澤勇司です。
この本で原子炉は「トイレのないマンション」
と表現されています。
また2000年までに85基増設
2010年までに85基がダメになるという
寿命の指摘もされています。
2010年を過ぎたいまの現状と照らしあわせて
みると30年後どうなるのか少し見えてくるような
きがします。
「書いてある通りの行政の動きでも想定外?」
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