三島由紀夫 生誕100周年記念能
三島由紀夫先生 生誕100周年記念能
ニューヨーク公演の情報が出始めました。
能「葵上(あおいのうえ)」「綾鼓(あやのつづみ)」
『近代能楽集』にはこの能を元にした戯曲「葵上」「綾の鼓」他の台本が収録されています。
この画像の左側、般若の面は六条御息所の怨霊です。
そして能楽のお約束
この金箔を張った着物は「素肌」を表しています。
つまり上半身はだかという事です。
霊能者 横川小聖との戦いの場面では胸を隠す演技があります。
その着物も振り捨てて光源氏の正妻 葵上を攻撃します。
きているものも気にならないくらい嫉妬と怒りが爆発した能面は結構有名な「般若(はんにゃ)」です。
演劇では葵上が生霊に取り憑かれるような描き方が多いです。『源氏物語』では葵上は臨月の妊婦さんです。
つわりも酷かったようで難産で「夕霧」を出産します。しばらくして亡くなってしまいます。
世阿弥は自分より年上の能役者 犬王の演じた「葵上」をみて「えも言わぬ風体なり」と感想を残しています。
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葵上の能に、車に乗り、柳裏の衣踏み含み、車副の女に岩松、車の轅にすがり、橋がかりにて、三つの車にのりの道、火宅の門をや出でぬらん、夕顔の宿の破れ車、やるかたな」と、一声にやりかけて、たぶたぶと言ひ流し、「うき世はうしの小車の、うき世はうしの小車の、めぐるや」などやうの次第、「小車の」、「まの」を張りにて言うて、言ひ納めに、とたと拍子踏みしなり。後の霊などにも、山伏に祈られて、山伏はとよ、それをばかへりみづかひ、小袖扱い、えもいはぬ風体なり
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現代の言葉なら「エモい!!」ですね

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森澤勇司(もりさわゆうじ)
能楽師小鼓方
1967年東京都生まれ。
テンプル大学在学中に見たこともない能楽界に入門し32歳で独立。
2000番以上の舞台に出演している。
43歳で脳梗塞で入院、
退院後、うつ状態克服のため心理学、脳科学を学ぶ。
復帰後は古典的な能楽公演を中心に活動している。
著書『ビジネス番「風姿花伝」の教え』
明治天皇生誕150年奉納能、
映画「失楽園」、大河ドラマ「秀吉」に
能楽師として出演。
2014年 重要無形文化財能楽保持者に選出される
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