困難は吉か凶か

困難の存在意義
3月15日 碧水園能楽堂
毎年恒例の白石蔵王の舞台です。
「碧」って一見難しい漢字ですよね。
王+白+石
白石蔵王にちなんでつけられた名前です。
「葛城(かづらき)」は葛城山の石橋伝説が能になっています。
雪で山に迷った山伏が登場します。そこに地元の女性が現れて雪が止むまで家で休むように案内します。
この女性は葛城の女神の苦しみを語ります。
役小角は葛城の女神に石で橋をつくるように命じます。
この女神は姿が醜いため姿を見られたくなかった。そのため昼は姿を見せず夜だけ工事をしたそうです。そして納期はどんどん遅れます。
怒った役小角は女神を葛でグルグル巻きにして懲らしめます。
そして女神は救済を求め舞を舞う。
昭和のおじさんが配偶者を「うちの山の神」というのはこの葛城の女神の話に由来してます。とはいえただ言ってるだけで葛城の伝説を知ってたとは思えませんが、、
この能「葛城」は『易経』の「沢水困」がプロットにしてつくったのではないかと個人的に解釈してます。
この能はみんなが困っているんですよね。
山伏は雪で道を失い困っている。
地元の女性は食べ物に困っている
役小角は橋の納期が遅れて困っている
女神は葛で呪縛されて困っている
「困」は『易経』の中でも三大難卦と言われる困窮した状態を象徴しています。
ただ悪いわけではありません。
困、亨、貞、大人吉无咎、有言不信。
言い訳をせず全力を尽くして乗り越えれば咎なく吉!
物語と卦の中の六つの内容がピッタリあっているんです。能と『易経』の関係はあまり研究されていないのでこれを世に出すのも「沢水困」と言えるかもしれません。
自分がどんなに困っていても隣の人の困っていることはあっさり救うことができたりする。
自分が困っているときはベクトルが自分に向いて視野が狭くなりがち。電車で席を譲ってみると救済のサイクルが回り始めます。そんな世界観に触れたい方におすすめの能です。
※日本の文化と『易経』のつながりを深く知りたい方はご一報ください。
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