【「萌え」の起源】鳴海丈 著

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毎日1分!朝活読書。

vol.314  2011年7月25日配信

『「萌え」の起源』

鳴海 丈 著

PHP新書

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『少しでも良い作品、面白い作品を生み出そうと

骨身を削って努力した結果、いつの間にか、

海外の子供や若者たちの眠っていた

種子を発芽させたのだと思います。』

本書より
▼「なにかに似ている?」

日本のマンガ・アニメが世界で受け入れられた

「萌え」の秘密を深く追求した一冊です。
「リボンの騎士」「ウルトラマン」

「仮面ライダー」といった懐かしい作品から

「ドラゴンボール」「ポケモン」

などのマンガ作品や美空ひばり、三船敏郎など

のキャラクター作りや作品を通して

日本人が求めている共通項を探っています。
また海外の事情と照らしあわせて

日本人が当然と思っていることが

世界では特異と思われている状況も

解説してあります。
「ポケモン」もアメリカで放映できなかった

二つの話については興味深い内容です。
1つは銃を突きつけられるシーンがあったこと

なので理由は簡単ですが、もう一つは

主人公サトシが「女装」して敵の目をくらまして

逃げ出すシーンがあったためだそうです。
日本ではスサノウ、牛若丸など一時的に

女の姿になっているという話がよくあるので

抵抗はないですが、海外の方から見ると

能や歌舞伎も女装だそうです。
性同一性障害などの問題の大きさがうかがえる

エピソードです。
また「ウルトラマン」「8マン」「仮面ライダー」

などに共通しているのは

「報われないまま」「命がけで」「人知れず」

戦っているというのが子どものころから

日本人が受け入れているヒーロー像だと

著者は語っています。
アメリカのヒーローは

アメリカの秩序を守るために戦っているのに

たいして、日本のヒーローは

人類、地球、平和のために戦っているなど

改めて聞かされると戦う目的や相手も

独自のものがあるようです。
また戦争を反対している作家が描いた作品にも

「御国のため」は否定しても「大切だと思うもの」

のためなら命を投げ出し特攻、玉砕を描いてしまう

理由も考察されています。
日本人の求めているヒーローの共通点から

意外な宗教観も発見できます。
外の人には親切で中に入ると厳しくなる

独特の感覚を持った日本人の姿が

「萌え」の要素は古典の世界に

通じるものが有ります。
是非読んでください。

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▼編集後記

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

今日もありがとうございます。

森澤勇司です。
マンガ、時代劇にとどまらず

能、狂言、神話に至るまで日本人の求めている

人物象が明確に掘り出されています。
変身するキャラクターやビジネスマン、

実在、架空の人物や人間以外のものまで

姿は違っていても

日本人が求めているヒーロー(ヒロイン)

の要素は非常に似ているので驚きました。
生命と無生命を区別しない事も

特徴的です。

敵を全否定して壊滅させるのではなく

みんなで幸福になれる方法を

考えるということも

ハッキリ白黒つけないように

見える要素かもしれませんね。
以前から「アンパンマン」と「北斗の拳」が

似ていると感じていたので疑問が氷解しました。
全然違うのに似ていると感じる物はありますか?
「なにかに似ている?」

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この記事を書いた人

森澤勇司(もりさわゆうじ)
能楽師小鼓方 1967年東京都生まれ。 テンプル大学在学中に見たこともない能楽界に入門し32歳で独立。 1500番以上の舞台に出演している。 43歳で脳梗塞で入院、 退院後、うつ状態克服のため心理学、脳科学を学ぶ。 復帰後は古典的な能楽公演を中心に活動している。 著書『ビジネス番「風姿花伝」の教え』 明治天皇生誕150年奉納能、 映画「失楽園」、大河ドラマ「秀吉」に 能楽師として出演。 2014年 重要無形文化財能楽保持者に選出される