海から見た歴史と伝統
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あなたもできる!朝活読書
vol.149 2011年2月10日配信
『海から見た歴史と伝統』
http://ameblo.jp/yu-o-mo/
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◆《1》今日の一言
◆《2》今日の一冊
◆《3》編集後記
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◆〈1〉今日の一言 #149
「重源?」
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◆〈2〉今日の一冊
『海から見た歴史と伝統』
遣唐使・倭寇・儒教
小島 毅 著
勉誠出版
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著者 小島毅さんは1962年生まれ。
東京大学大学院人文社会系研究科助教授です。(
初版当時)
「遣唐使は894年をもって廃止になったわけでは
なかった」という観点から話が始まります。
13世紀の鎌倉は中国語が飛び交う
エキゾチックな都市だった。
研究者の間では当たり前の事として
認知されている事柄が多数語られています。
能に登場する菅原道真や能「安宅」の勧進帳に
登場する重源についても詳しく説明されている
ので伝統芸能に興味のある方にもお勧めです。
仮名文化というのはサブカルチャーの
ような物だったということについても触れています。
『土佐日記』紀貫之
「日記というものは、男の人が漢文で書くもの
だけど、女の私も日記を書いちゃっていいのか
しら、しかもそれを仮名文字で書いちゃってい
いのかな」といって書いている。
いまでいう「ネカマ」と何ら変わりがないので
す。
「『源氏物語』みたいなポルノまがいの小説が
なぜ古典としてあがめられるのか個人的には
全然理解できません。」
これは著者の意見だけではなく儒教の思想家の
もっていた意見だそうです。
「日本は昔からこういう国体だ」というものは
なかったと、吉田松陰、明治維新などの例を
挙げています。
無いものを「あった」というイデオロギー操作は
各時代で作られてきたと著者は語っています。
「日本古来の伝統の正しい姿」を強調する中で
あえて、そうではないというスタンスで
世の中の流れに逆らってみようという
思いが込められている逆説の一冊です。
伝統を語る方は特におすすめです。
ぜひ読んでください。
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◆〈2〉編集後記
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今日もありがとうございます。
森澤勇司です。
久しぶりに日本文化の本を読んでみました。
「正しい」の反対はなんでしょう?
この本にも「伝統の正しい姿」という言葉が
登場します。
このキーワードが有る限り出版される本は
尽きることがないという感想を持ちました。
なぜなら無いものだからです。
極論すれば日本で正しい文章というのは
「日本国憲法」以外ないのではないかと
思います。
「正しい空気」「正しい自動車」
「正しい自転車」「正しいブログ」
「正しい」というのは実に曖昧です。
反対語が複数あります。
1月29日号『日本人は「やさしい」のか』
の「やさしい」と同じです。
反対語との必要条件、十分条件を満たしていません。
やはり「美しい」とか「キレイな」という
考え方の方が明るくて好いですね。
反対語が有っても無視してよいでしょう。
「美しい」というのは、意外に亭主関白で
頑固オヤジみたいな言葉です。
理由不要なんですから。
常に変化するのが当然ですし
また過去の物にも「美しさ」は存在しつづけます。
美術館が多数存在するのもそうしたことの
証明ではないでしょうか。
反面、「正しい」というのは
最新バージョンしか認められません。
そのクセ曖昧ではっきりしない。
理由不要で他の存在も認められて
追求してゆく方向だけに進む。
「美しい」というのは理想的な状態ですね。
「正しい人」より「美しい人」が好きです。
皆さんはいかがですか。
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