小鼓通信6月号の問答

◆【問】はやく一曲を仕上げるにはどんな稽古がおすすめですか。

   【答】稽古の基礎のとおりにすることです。

  稽古の基礎とは下記の順番です。

  • 打ち方 ②手組み ③謡の暗唱 ④謡と手組みをあわせる ⑤研究する

上記の前提になるのが「舞台を見ること」です。みたことがないものを想像で作り上げると自己流になりがちです。実際の舞台を見て型を模倣するところから入ると基礎が早くしっかりしてきます。

これが一番の時間短縮になります。稽古している曲以外でも型は100%存在しています。予定を立てて能楽堂に足を運ぶようにしましょう。

また一曲打ててから曲の世界観を表現すると言う考え方は永遠に曲が完成しない稽古方法です。曲の登場人物はだれなのか、なにしに現れるのか。そうした事を稽古の時間にも確認しつつ打ち方を会得してください。

◆【問】能楽を稽古していることを人に話すのがためらわれます。

【答】話す話さないは個人の自由ですが、伝統というのは燈を伝える、絶やさないようにするということが言葉の意味になっています。受け取ったバトンを自分でしまいこんでしまうことは、どのジャンルのことでも健全ではありません。ですから話すことはなくても伝えることは必須です。逆に伝えるために学ぶという側面があります。なにかそこに後ろめたさがあるようなものなのであればどんなところなのかご相談ください。

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森澤勇司(もりさわゆうじ) 能楽師小鼓方 1967年東京都生まれ。 テンプル大学在学中に見たこともない能楽界に入門し32歳で独立。 1500番以上の舞台に出演している。 43歳で脳梗塞で入院、 退院後、うつ状態克服のため心理学、脳科学を学ぶ。 復帰後は古典的な能楽公演を中心に活動している。 著書『ビジネス番「風姿花伝」の教え』 明治天皇生誕150年奉納能、 映画「失楽園」、大河ドラマ「秀吉」に 能楽師として出演。 2014年 重要無形文化財能楽保持者に選出される