能楽の稽古法とは誰にでも出来る事だけ重ねてつくる
目次
何か特別なことはあるのだろうか
日本の伝統文化を伝える「むすびの会」様が人間国宝 山本東次郎先生の身体能力を計測したという貴重な動画です。なにしろこうした計測は家族でも簡単にできる事ではありません。有り難く拝見させていただきます。
実は達人ほど普通だった
この動画の中で際立っているのは「呼吸」です。動き始めに息をためるのではなく、普通にというか波形だけ見ると人工的ではないかと思うくらいキレイな呼吸の波形が映し出されています。
誰でも出来る事を誰も真似できないレベルに高める
この呼吸の土台があるからこそ、上に乗る動きがしっかりするのだと悟ったとしても真似することはたやすいことでは無いでしょう。言い聞かせて気をつけてするようなものではありません。
逆に動きと呼吸を合わせる方は、ノウハウとして真似もしやすく達成感もありそうです。しかしここが上手になると呼吸の土台が出来なくなる。
世阿弥の語る、時分の花と真の花の違いを具体的にあらわとこの呼吸になるのかもしれません。
誰でも出来る事を、誰も真似できない所まで高めていくというお話は動画で直接聞いていただくのがおすすめです。
あきらめずに続ける
やはり舞台というのは本番がありますから、当日の完成度は目指すものです。稽古した手なら周りの方に胸を借りるように思いっきりするのが日常です。だんだんに年下の人との共演が多くなると目先の完成度に走りがちです。出来ないところも自己流でごまかしてしまう事もあります。
ここは気持ちを新たに、出来なくても理想を目指す姿勢で舞台に臨んでいきます。伝統芸能は長距離走です。私の勝手な感じですが、この長距離走のゴールがもうちょっとと思うとスッと遠ざかる。なんとも不思議な感覚です。
虹の麓にたどり着かない感じというのでしょうか。それでも暗中模索より向かう方向に目印があるというのは有り難いことです。企画していただいた「むすびの会」様にも御礼申し上げます。貴重な動画を公開していただき有り難うございました。
「むすびの会」
https://www.musubinokai.org/
最新記事 by 森澤勇司 (全て見る)
- 日本の成り立ちアーカイブ - 2024年6月4日
- 日本書紀 完読会 38週 感想 - 2024年4月21日
- 20240414 日本書紀完読会37週目 - 2024年4月14日
- 日本書紀 完読会 35週目 - 2024年4月14日