人間国宝の競演【半蔀】
5月3日麻生市民会館
「人間国宝の競演」にて「半蔀(はしとみ)」に出演します。
『源氏物語』を題材にした能はそのまま演劇になっているのではなくほぼ全てスピンオフ作品です。
「半蔀」も原作の後日談になっています。
お坊さんがひとり仏に供えた花の供養をしています。そこに女性が現れそこに白い花を一輪加えます。
お坊さんがこの花の名前はと聞くと夕顔と答えます。
あなたのお名前はと聞くと、、名乗らなくてもそのうちわかります。五条あたりに住んでますよと言って消えていきます。
お坊さんが五条あたりに行くと夕顔が現れ光源氏と出逢った事を回想し舞を舞います。
能ではよく幽霊が舞を舞う場面があります。
明治以前「感謝」という言葉はありません。報恩、報謝、必ず物や行為でお礼をします。
弔ってもらったお礼としても幽霊が舞う場面が多いです。この能「半蔀」でも後半の舞は10分以上あります。これはどういう意味かと言えばお坊さんに対する「ありがとう」なのです。
そしてこの夕顔の花のなよなよとしたイメージ。そのまま手で持つと折れてしまいそうな儚さがこの女性を夕顔と呼ぶ事に繋がってます。
漫画「あさきゆめみし」でもこの夕顔の花を光源氏に渡す場面が描かれています。
半蔀の台本では
「白き扇のつまいとう焦がしたりしにこの花を折りてて参らする」という文章になっています。
香を深く焚きしめたと口語訳されたりもしますが「妻」「焦がす」という嫉妬に繋がるイメージが後に六条御息所の怨霊に殺されてしまう運命にもつながっていますからやはり元の文章出ないと味わえない世界もあります。
源氏物語には名前のある人はほぼ出てきません。役職とかイメージで読んでいる名前です。源氏名もここからきてます。
源氏名を呼ぶお店が好きな方はひと時の光源氏体験を楽しめてるかもしれないですね。
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