奈良県の鹿と江戸川区【春日龍神】

奈良県の鹿と江戸川区
昨日、明治大学で『伊勢物語』のデザインの講座に参加しました。
『伊勢物語』を題材にした能も多く作られています。
その方で印象に残ったのは「留守文様」
箱や着物にデザインする時、面積が限られます。そこで人物やメインの事柄を「留守」にする。よく目にしているので当たり前に思っていました。改めて整理されたお話を聞けてよかったです。
『伊勢物語』は125段の短編集です。
その中で第一段のデザインに必ず鹿が描かれます。
かすが野の
若紫の
すり衣
しのぶの乱れ
乱れ限り知られず
奈良県といえば鹿!
春日といえば鹿!
この鹿にまつわる伝説と今住んでいる江戸川区が意外にも関係のある土地です。
鹿島神宮から春日大社まで御祭神タケミカヅチの御霊を鹿に乗せて運んだという伝承があります。
途中、江戸川区を通過する時、その鹿がなくなってしまいます。
その鹿を埋葬したところが「鹿骨(ししぼね)」という地名になっています。
別の鹿に乗せたところは春日大社の伝承には記載されていないようです。
その担当者が中臣時風、中臣秀行(ひでつら)の兄弟です。
こちらは能「春日龍神」で中国に渡ろうとする明恵上人(鳥獣戯画のある高山寺のお坊さん)を引き留める神職が「我は時風秀行ぞとて」と語る場面があります。
ここ舞台には一人しか出てこないので「時風秀行」という人なのかと勘違いしそうなところです。私も伝説を知るまでは一人の名前だと思ってました。実は二人。能では「ときふう、ひでゆき」と発音してます。
大事な鹿が死んでしまったら焦ったでしょうね。白い鹿だったそうなのですぐに見つかったのか?
どんな苦労があったかはわかりませんが、タケミカヅチ神の御霊は鹿と共に春日まで運ばれて祀られました。
鹿島神宮→鹿骨→春日大社
平安時代には奈良をイメージされるデザインには鹿が描かれる。
鹿さんは本家の鹿島神宮よりも分家で活躍してますね^_^
能一曲の中にもさまざまな伝承が凝縮されてます。
※画像はAIで生成しました。
#日本の伝統
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