本で時間旅行

朝活は『吉田松陰全集』『史記』『聖書』
16歳当時の署名は吉田矩方になってます。このあたりネット情報と実際の書物をよむのとだいぶ違います。
『史記』は秦の始皇帝の「始皇本記」
始皇帝暗殺の場面は『平家物語』にも引用され能「咸陽宮」になっています。
また始皇帝を狙った人物 張良も登場します。こちらは能「張良」ななっています。12月14日に宝生能楽堂で上演されます。
ここに出てくる会稽山の故事は能「船弁慶」に引用されています。
始皇本紀の次は「項羽本紀」項羽は能「項羽」になっています。
読み始めると能に関連することが多い書物です。量の多さに躊躇してましたが読み始めると面白いです。
本日、印象に残ったことは徒党の禁止と焚書の場面
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『史記』始皇本紀
学者のことばはみな古をたたえて今をそしり、虚言を飾って真実を乱し、おのおの自己の学んだところを最善として、上の建てた制度をそしったのです。
ーー中略ーー
私学の徒はなおたがいに法教をそしり、一令が出ると聞けば、おのおのの学ぶところで非議するのです。
朝廷では心中に非とするだけですが、外では巷間に非議し、君主に従順でないのを名誉と心得、違った見解を立てるのを高尚と思い、群下の衆を率いて誹謗をおこなうのです。
これを禁じなければ、君主の勢威が上に衰え、小人の徒党が下にできあがります。これを禁止するのが上策です。
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集まって勝手な解釈をすることを防止しようという提案があります。解釈は自由ですが昨今の日本国内でも創作を日本古来というような発信は増えてます。情報の真偽はまだまだAIには頼れない状況です。
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『史記』始皇本紀
わたくしは史官の取り扱う秦の記録以外は、みなこれを焼き、また博士官が職務上保存するもののほか、一般民間にある詩・書・百家の語は、これを、ことごとく郡の守尉に提出させて、焼き払い、ことさらに詩・書を偶語する者があれば棄市(人の集まる市場で斬殺し、屍をさらして多くの者に示す)し、古をもって今をそしる者は族滅し、官吏で知って見逃す者には同罪を科し、命令が出て三十日以内に焼かない者はいれずみをして城旦(毎朝出て築城に役する徒刑囚)にしたいと思います。
ただ医薬・卜筮・種樹の書は例外とし、もし法令を学ぼうとする者があれば、吏をもって師とするようにいたしたい」と。始皇はこれを裁可した。
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昨今の中国でも国ができたのは新しいと言われる反面、『易経』『論語』をはじめ四書五経も紀元前から繋がている文化もあります。残すモノ、消滅させるモノの区別がはっきりした記録が『史記』には記載されています。
日本は『古事記』『日本書紀』以前の歴史書は存在していたようですが『古事記』序文によれば『史記』と似た理由なのか消滅しています。
権力者や時代の移り変わり、戦争による破壊、自然災害による破壊などその土地に行っても体感できなかったり全く違う印象を持ってしまうことが普通です。
東京で江戸の長屋の雰囲気を感じることはできないし、日本橋に行っても川に荷下ろしの船の渋滞を見ることもない、海沿いの神社もほとんどが埋め立てで陸地です。
そんな時間旅行は現地より本が頼り、能の作者全員が『史記』を直接読んだわけではないでしょうがどんな世界を展開したかったのか想いを馳せるきっかけにはなります。
能の題材になった土地、書物にはできるだけ多く触れておこうと思いました。
※画像はAIで生成しました。
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