思いつく答えはどこにあるのかと悩んでいるならまず能楽堂
自分の役の前に休憩があるときは狂言を見るようにしています。
「伊文字(いもじ)」
登場人物は、主人と太郎冠者
道端の女と旅の人は一人二役です。
忘れてしまったものをどう思い出すか。
知らない事の答えを出せと言われてどうするか。
いまの検索にも通じるようなお話です。
婚活中の主人は清水寺で妻との出会いを祈願しています。
そのお告げによりたたずんでいる女に声をかけると、、住んでいる場所を和歌で答えて何処かに行ってしまいます。
太郎冠者も「い、、、」だった事は覚えているのですがその後が思い出せない。
主人と相談して通行人を止めてアイディアを出させる事を思いつきます。
そして、関所を作ってトウセンボするのです。
この旅の人はこれを「飛び越える」「下をくぐる」「元に戻る」「居座る」など試みますがアイディアを出すまで通さないと足止めされます。
そして、、和歌の上の句から「国の名前」という推測をして「い」のつく国を挙げていきます。
この時に黙って座っているのではなく、舞ったり足をふみ鳴らしたり、上を向いたり、様々な動きがあって答えを出していきます。
太郎冠者と主人は度忘れ状態で自分では答えを出せないが聞けばそれだとわかる。
旅の人はアイディアを出してもそれが正解かはわからない状態でアイディアを出す。
この狂言「伊文字」からこんな事を受け取りました。
◆困った時は人の頭を借りる
◆落とし所のイメージを共有する
◆絶対に答えが出るまで考えることから逃れられないと腹をくくる
◆ひとつでもあるヒントを大事にする
◆体を動かしてみる
◆違っていてもどんどんアウトプットしてみる
こんな発見がありました。
伊文字はかなり古い作品で室町時代には存在したようです。
現代では缶詰で曲を書かされる作曲家とか作家さん、様々な業界に置き換えた風刺と見ることもできる古くて新しい作品です。
イメージを言語化する脳の働きとしてみるのもいい感じです。
検索ワードの絞り込み方はまさにこの狂言のテーマそのものです。
行き詰まった時には能楽堂に来てみるのもいいですね。
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