能楽と百人一首定家卿敦盛ワキも連生法師
藤原定家が自著「明月記」に小倉山荘のふすまに貼るため百首の和歌を選び色紙にしたと書き残しています。
この百首が現在の百人一首として伝わっている歌です。
能では全文そのままの引用もありますが、一部の抜粋というものが多いです。
また一部改編して使っているものもあります。
比較的原文のままのものをカルタと一緒に写真を撮ってみました。
今回は糸井重里さんの企画ほぼ日の百人一首を出してみました。
この写真以外もありますが、今回は「ああ能にも百人一首がつかわれているんだな」という事が伝わったらいいかと思っています。
さてこの中で「敦盛」という能があります。これは平家物語の敦盛の最後を題材にした能です。熊谷次郎直実が出家した名前が「連生」です。そして、なんと定家に百首を選んで色紙にしてくれと頼んだのがやはり「連生」という別人ですが同じ名前なんですね。
かねがね敦盛の後場に、百人一首の歌が出てくることに違和感を持っていました。しかも、まるごとではなく、流儀によって少し原文と変えている。
定家が友人 連生に頼まれて選んだ百人一首の歌があります。
それを世阿弥は自作の「敦盛」のワキ連生にからめ、敦盛に百人一首の歌を詠ませるという発想をしたのかと想像してしまいました。
ほんとのことを世阿弥に聞いて見たいものですね。
「秘すれば花」
そうおっしゃるかもしれませんね。
感想いただけると嬉しいです
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森澤勇司(もりさわゆうじ)
能楽師小鼓方
1967年東京都生まれ。
テンプル大学在学中に見たこともない能楽界に入門し32歳で独立。
2000番以上の舞台に出演している。
43歳で脳梗塞で入院、
退院後、うつ状態克服のため心理学、脳科学を学ぶ。
復帰後は古典的な能楽公演を中心に活動している。
著書『ビジネス番「風姿花伝」の教え』
明治天皇生誕150年奉納能、
映画「失楽園」、大河ドラマ「秀吉」に
能楽師として出演。
2014年 重要無形文化財能楽保持者に選出される
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