馬車が買いたい!

◆○◆━━━━━━━━━━━━━◆○◆

朝活読書 vol.88  2010年12月11日配信

『馬車が買いたい!』

◆○◆━━━━━━━━━━━━━◆○◆

◆《1》今日の一言

◆《2》今日の一冊

◆《3》編集後記

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆〈1〉今日の一言 #88

「シンデレラが乗っていたのは?」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆〈2〉今日の一冊

————————————–
『馬車が買いたい!』

鹿島茂 著

白水社
—————————————
著者 鹿島茂さんは194年生まれ、
明治大学国際日本学部教授です。

1990年に出版された「馬車が買いたい!」
の新版です。

19世紀のパリの様子や風俗と馬車に
まつわるエッセイが一冊になった
鹿島茂さんの処女作です。

挿絵も多く当時のパリの生活臭を感じられる
一冊です。

野兎の煮込みといってアンゴラウサギを
出してしまうという話や貧民窟など
臭くて汚いと当時のパリもリアルに感じられます。美化された話ではないですが
生命力を感じます。
11月6日号の
「フランス革命下の一市民の日記」
も一緒に読んでみると面白いと思います。

後半にはタイトルになっている「馬車」の
事がつづられています。

キャブリオレ、クーペなどの種類から
一頭立て、二頭立て、タンデム、ドーモン
など馬の配置の仕方まで興味深く楽しい
記事が満載です。

シンデレラの乗った馬車はカロッスか
ベルリーヌかこれを読むと判別できる
ようになります。

自動車好きの方にもお勧めします。

ぜひ読んでください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆〈2〉編集後記

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今日もありがとうございます。
森澤勇司です。

馬車の操縦席は車外にあります。
自動車は内側です。

これにより操縦者の社会的地位が上がった
という考察がされています。

明治以後は外国と同じスタイルの馬車が
使われていますが大名行列などの絵を見ても
馬車はないようですね。

荷物を引かせていることはあるようですが、
人間は人間の担いだ駕籠に乗っていることが
殆どです。

通信も飛脚が活躍しています。

日本は人使いが荒いのかとも思いましたが、
よくよく考えてみればヨーロッパほど広い
わけではないですし、起伏が激しい地形では
馬車はかえって邪魔なものかも
しれませんね。

障害物の多い日本の長距離移動に
馬車は不向きだったのではないかと
思います。

地形的な理由からでも外国では動物や機械が
している仕事を、人間がしていることが
多くなります。人力車や駕籠かき、
飛脚などがそうです。

必然的に労働者の地位が低くなってしまう
ため「芸術」「音楽」なども含め、
人間のつくりだすもの全般に低く見て
しまう土壌になってしまうのではないかと
感じます。

柔軟な対応ができる反面、文化伝統意識が
薄くなるという意識のバランスが共存
できるとよいですね。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

感想いただけると嬉しいです
The following two tabs change content below.
森澤勇司(もりさわゆうじ) 能楽師小鼓方 1967年東京都生まれ。 テンプル大学在学中に見たこともない能楽界に入門し32歳で独立。 2000番以上の舞台に出演している。 43歳で脳梗塞で入院、 退院後、うつ状態克服のため心理学、脳科学を学ぶ。 復帰後は古典的な能楽公演を中心に活動している。 著書『ビジネス番「風姿花伝」の教え』 明治天皇生誕150年奉納能、 映画「失楽園」、大河ドラマ「秀吉」に 能楽師として出演。 2014年 重要無形文化財能楽保持者に選出される

最新記事 by 森澤勇司 (全て見る)

曲目目次

あ行 か行 さ行 た行 な/は行 ま/や/ら行
(あ)
藍染川

葵上
阿漕
芦刈
安宅
安達原
敦盛
海士
海人
嵐山
蟻通
淡路

(い)
碇潜

生田敦盛
一角仙人
井筒
岩舟

(う)
鵜飼

浮舟
雨月
右近
歌占
善知鳥
采女

梅枝
雲林院
(え)
江口

江野島

烏帽子折
絵馬
(お)
老松

大江山
鸚鵡小町
大社

小塩
姨捨
大原御幸
小原御幸
女郎花
大蛇
(か)
杜若

景清
花月
柏崎
春日龍神
合浦
葛城
鉄輪
兼平
賀茂
通小町
邯鄲
咸陽宮
(き)
菊慈童

木曾

清経
金札
(く)
草薙
国栖

楠露
九世戸
熊坂
鞍馬天狗
車僧
呉服
黒塚

(け)
現在七面

源氏供養
玄象
絃上
月宮殿

(こ)
恋重荷

項羽
皇帝
高野物狂
小鍛治
小督
小袖曽我
胡蝶

(さ)
西行桜
逆矛

桜川
実盛
三笑

(し)
志賀
七騎落
自然居士
石橋
舎利
俊寛
春栄
俊成忠度
鍾馗
昭君
猩々
正尊
白鬚
代主

(す)
須磨源氏
隅田川
住吉詣

(せ)
西王母
誓願寺
善界
是界
是我意
関寺小町
殺生石
接待
蝉丸
禅師曽我
千手

(そ)
草子洗小町
草紙洗
卒都婆小町
(た)
大会
大典
大般若
大仏供養
大瓶猩々
第六天
當麻
高砂
竹雪
忠信
忠度
龍田
谷行
玉鬘
玉葛
玉井
田村

(ち)
竹生島
張良

(つ)
土蜘蛛
土車
経正
経政
鶴亀
(て)
定家
天鼓

(と)
東岸居士
道成寺
唐船
東方朔
東北
道明寺

木賊
知章

朝長
鳥追船
鳥追
(な)
仲光
難波
奈良詣
(に)
錦木
錦戸
(ぬ)

(ね)
寝覚
(の)
野宮
野守

(は)
白楽天
羽衣
半蔀
橋弁慶
芭蕉
鉢木
花筐
班女

(ひ)
飛雲
檜垣
雲雀山
氷室
百万

(ふ)
富士太鼓
二人静

藤戸
船橋
船弁慶
(ほ)
放下僧
放生川
仏原
(ま)
巻絹
枕慈童
枕慈童(カ
松風
松虫
松山鏡
満仲
(み)
三井寺

通盛
水無月祓
身延
三輪
(む)
六浦
室君
(め)
和布刈
(も)
望月
求塚
紅葉狩
盛久
(や)
屋島
八島
山姥
(ゆ)
夕顔
遊行柳
弓八幡
熊野
湯谷
(よ)
夜討曽我
楊貴妃
養老
吉野静
吉野天人
頼政
弱法師

(ら)

羅生門
(り)
龍虎
輪蔵
(ろ)
籠太鼓