古事記 14週目 感想
14①天之日矛
②秋山之下氷壮夫と春山之霞壮夫
③系譜
下つ巻
◆仁徳天皇
④后妃と皇子女
⑤聖帝の御世
⑥皇后の嫉妬と吉備の黒日売
垂仁天皇の御代に記載のある天之日矛が古事記では応神天皇の御代に記載がある。この記載の違いが云々言われることがあるが昔話として挿入されている。時系列にはあってないがなんの問題のない記述かと思う。本当に口述筆記なら普通にありそうなこと。タヂマモリがその子孫ならトキジクノカクノミの事も親、祖父から聞いていたのかもしれない。
秋山之下氷壮夫と春山之霞壮夫は、海幸山幸にも通じている。時系列を見ると神代から現世につながっているようだが、実際は現世から摘出したエッセンスが神話になっているのだろう。
この辺りからただいま火曜日の神話の時間にまとめていることと被ってくる。『日本書紀』の工事記録と高き屋の逸話に比べかなり簡潔な記載になっている。現代は検索もすぐできるので、場所も他の書物を参照すればおおよその特定はできる。古事記単体の表記で場所を探すには情報が少なすぎ。他の書物があること前提でだいぶ端折ったのか。これで全部だったのか。はたまた少ないものに盛り足したのか。今となってはわからない。
歌のやりとりも古事記全般に第三者が創作したような感じ。スマホやSNSなみに「思い」という想像で聞こえぬ声に思いを馳せていたのかもしれない。
その後の描き方も古事記ではゴシップ的な面白おかしいような描き方になっている。前半の聖帝としての記載から後半の皇后に頭が上がらないような描き方のギャップは何を意図したのだろうか。
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森澤勇司(もりさわゆうじ)
能楽師小鼓方
1967年東京都生まれ。
テンプル大学在学中に見たこともない能楽界に入門し32歳で独立。
2000番以上の舞台に出演している。
43歳で脳梗塞で入院、
退院後、うつ状態克服のため心理学、脳科学を学ぶ。
復帰後は古典的な能楽公演を中心に活動している。
著書『ビジネス番「風姿花伝」の教え』
明治天皇生誕150年奉納能、
映画「失楽園」、大河ドラマ「秀吉」に
能楽師として出演。
2014年 重要無形文化財能楽保持者に選出される
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