酒と美人にご注意【一角仙人】
7月12日インターネットは完売!!
嬉しいことに高校の同窓生から「舞台に行くよ〜」と連絡をもらいました。
7月12日の国立能楽堂は「一角仙人(いっかくせんにん)」に出演します。
能楽堂は歌舞伎座とは違い同じ場所でも主催者がいつも違います。上演も一回が基本です。
色々な公演はありますが、初めての方には国立能楽堂の主催公演をおすすめすることが多いです。
この「一角仙人」は歌舞伎「鳴神」の原曲になっています。
物語の場所は古代の天竺波羅奈国、現在のインド🇮🇳バラナシ、ヒンズー教の聖地です。
ここに鹿から生まれた一角仙人がいます。龍神と争い龍をすべて岩に閉じ込めてしまいます。そうとう強い!
何ヶ月も雨が降らずに困った国王は悩みます。
そして、臣下たちを迷った旅人のように一角仙人に住まいにゆき、旋陀夫人という美人を近づけ霊力を失わせる作戦を立てます。
昨今のハニートラップ作戦です。
作戦通り一角仙人の元にやってきた臣下たち。一角仙人とコンタクトを取ることに成功します。
何をしにきたのか疑う一角仙人ですが、臣下たちは道に迷った事を繰り返し伝えます。
そして一息つけたので酒を飲みましょうと仙人に語りかけます。
「いや仙境には松の葉を好き、苔を身に着て桂の露を嘗め。幾年、経れども不老不死のこの身なり。酒を用うる事あるまじ」
断る仙人に気持ちですからと旋陀夫人は酒を勧めます。
「げに志を知らざらんは鬼畜にもなほ劣るべしと」
気持ちが受け取れないようでは鬼や畜生以下ではないか、、、
そう言って盃を受けてしまいます。ここの台本は「酒」という言葉を使わず「盃」「菊の露」と表現してます。
そして音楽の演奏が始まり旋陀夫人が舞いはじめます。
この舞を見ているうちに一角仙人も乗ってきて一緒に舞いはじめます。酔っているので動きや足拍子など音楽とズレて踏む演出があります。
そうして酒に酔い一角仙人の霊力は弱まってしまいます。
そして閉じ込められていた龍神は岩から飛び出して大雨を降らし龍宮に帰っていきます。
今も昔も酒はさまざまな問題がセットになってますね。
一角仙人もストイックに何年も霊力をつけました。龍神が束でかかっても勝てないくらいの霊力です。
それなのに美人と酒であっさり何年もの修行が0になってしまいます。
遅刻や駐車違反などのように一回では社会的信用が落ちるまでにはならない失敗もあります。ところがハニートラップにかかってしまうと一生の信用を失うリスクがついてきます。
音楽的にも設定もファンタジーな作品ですが時の権力者に向けた教訓的メッセージも含んでいる作品です。
※信用できる人を見分ける8つの質問に興味ある方は8月3日に講座があります。
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