牛の頭に人の体【砧】【自然居士】
牛の頭に人の体
『聖書』を読んでいると一神教といいながら複数の神が登場する。
本日は「レビ記」アザゼル、モレク神、これらについては諸説あるので各自の信じるところに任せるとして、、
一説によると頭が牛で人の体のように描かれる事が多いようです。
日本の中でも同型の⭕️牛頭天王が祀られている神社も多く、一説には素戔嗚尊と解釈されているところもあります。
ギリシア神話、史記、能楽、日本書紀など牛の頭で人の体の異界のモノが描かれている部分をまとめました。
ーーーーーー
▶︎『ギリシア神話』
当時アテーナイの人々は、クレーテーの王ミーノースに強いられて捧げ物として供えなければならない生贄のために深い苦悩にひたっていました。この生贄は七人の青年と七人の処女とからなっていて、それを人々は毎年餌食として頭が牡牛で体が人間の形をした⭕️ミーノータウロスという怪物に送らなければならなかったのです。怪物は非常に力が強く、気性も荒かったので、ダイダロスが造った迷宮に住まわされていました。
ーーーーーー
ミーノータウロス→王妃が罰を受け牛との間にできた子とされています。
迷宮→ラビリンスが古代ロマンをそそりますが実在の痕跡は今のところ無いようです。
ーーーーーーー
▶︎『史記』司馬遷 著
⭕️蚩尤(しゆう)が、また乱をおこし、命令をきかなかったので、黄帝は諸侯の兵を募り、蚩尤と涿鹿の野(上掲涿鹿地方と伝えられる)に戦い、ついに蚩尤を虜にして殺した。このため、諸侯は、みな軒轅を尊んで天子と仰いだので、神農氏に代って位についた。これが黄帝である。
ーーーーーーーー
蚩尤→こちらは頭が牛、体は鳥だったり人だったり諸説あります。武器をはじめに作ったという伝説もある怪物です。
ーーーーーーーー
▶︎能『自然居士(じねんこじ)』観阿弥 作
黄帝これに召されて⭕️蚩尤を易く亡ぼし、御代を治め給ふ事。一萬八千歳とかや。
ーーーーーーーー
手強い蚩尤を退治するために船を発明されたという伝説が語られます。池の上の葉に蜘蛛が落ちたのを見て船が発明されたことが語られます。
ーーーーーーー
▶︎能『砧(きぬた)』世阿弥 作
獄卒、⭕️阿防羅刹の笞の数もいとせめて。
ーーーーーーーー
嫉妬の悲しみに亡くなった妻が地獄で責められる場面です。地獄の番人、阿防羅刹に鞭打たれます。
能楽は、生前苦しんでいた状態が、死後にも継続することが多いです。見える世界と、見えない世界のシンクロした世界観が展開されます。
ーーーーーーー
▶︎『日本書紀』
これは勘違いの話です。
ミマキイリビコ天皇(崇神天皇)の御代。角の生えた人が越国、筒飯浦(気比神社付近)にきたのでそこを角賀(敦賀)とよんだという伝説が語られています。
しかしツノがあるのではなく名前の聞き間違いであることが記載されています。
ーーーーーーー
意富加羅国の王子、名は都怒我阿羅斯等(ツヌガアラシト)、またの名を干斯岐阿利叱智干岐(ウシチアリシチカンキ)といいます。
ツヌガアラシトを角がある人と受け取ったとか、、
この部分は天日矛伝説と交錯するところなのでここではさらっと触れるだけにしておきます。
ーーーーーーーー
▶︎備後国『風土記』
蘇民将来の伝説
「北の海にいましし武塔の神」→「吾は速須佐能雄の神なり」
こちらも牛頭天王と同一解釈されている地域もあります。
色々な伝説が交錯していますが、世界中で荒くれた印象のある存在は牛の頭を持っている共通点が面白いですね。
※画像はAIで生成しました。
最新記事 by 森澤勇司 (全て見る)
- 宇宙人の心理学 - 2025年6月14日
- 牛の頭に人の体【砧】【自然居士】 - 2025年6月13日
- 酒と美人にご注意【一角仙人】 - 2025年6月12日
- 2025年6月11日「第六天」 - 2025年6月11日