夢からのメッセージ【生田敦盛】

夢からのメッセージ

ここのところ生田神社の話題をたびたび耳にしました。

ぱっと思い浮かぶのは能「生田敦盛」

能楽は夢からのメッセージを題材にしたものが結構多いです。

「生田敦盛」も夢を題材にした曲の一つです。

はじめに法然(ほうねん)上人のところで働いている人が登場します。

法然上人が
賀茂神社に参拝に行った時2歳くらいの男子が箱の蓋に入れられ捨てられていました。その子が10歳になり両親のいないことを嘆くようになりました。

ある日、説法をしてこの事を話すと聴衆の中から若い女が走ってきます。そして自分の子だといいます。出生のことを聞くと一ノ谷の戦で16歳で亡くなった敦盛の子だといいます。

夢の中でも父親の姿を見たいと思った少年は賀茂神社にゆき七日間参拝することにします。

そして祈っていると霊夢のメッセージを受け取ります。

敦盛の子「汝、夢になりとも父を見んと思はば。これより津の国、生田の森へ下れと、あらたに霊夢を蒙りて候」

そこから黒谷の法然の元には帰らずすぐに生田の森へ向かいます。

日も暮れてきたので近くの民家に泊めてもらうことにします。

ここから舞台では特にアナウンスもなく夢の世界に入っていきます。

そこに現れる甲冑の男にお供の男は誰なのか訊ねます。

敦盛の霊「愚かの人の心やな。面々これまで来たり給ふも我に対面の為ならずや。恥ずかしながら古の敦盛が幽霊きたりたり」

敦盛の子「なう敦盛とは我が父かと身にも覚えず走り寄り」

袂にすがり再会を喜んでいると敦盛が再会できた理由を語ります。

親を思う孝行な息子が賀茂明神に何度も祈誓してくれたこと。夢の中で父親の姿を見せてほしいいう願いを閻魔王が聞き届け現世に現れることを許してくれたと語ります。

平家のこと最後の戦のことなどを語り名残の舞を待っていると閻魔王の使いがやってきます。帰りが遅いと閻魔王が怒っている。そういうまもなく修羅道に引き戻され姿は消えていくという物語です。

敦盛は一ノ谷の戦で味方の船に乗り遅れ、熊谷次郎に打たれてしまいます。

享年16歳、子どもがいたというのは都市伝説のようなものですが当時の風習からすれば全く不思議な話ではありません。

夢というのは不思議なものです。夢の中で現れるならいつどこで寝ていても現れてくれるような気がしますが能の物語の多くは場所を変えないと次のメッセージはやってきません。

一ノ谷という場所で戦のことを聞いて父親像を思い浮かべた妄想なのか、本当に賀茂神と閻魔王が通じて地獄を離れる許可を出したのか。

これはどちらかは見る人それぞれの受け取り方によります。

今日のブログ記事を何にしようか思い浮かばなかったので30分時間をとって霊夢をいただくことにしました。タイマーを30分つけたらまもなく生田敦盛ということがピンときたので確保した30分でちょうど記事が書き終わりました。

せっかく能に携わっているので、夢を活用する本も出版したいですね😃

ということで100日チャレンジも91日目97記事になりました。100記事目、100日目に何に出逢えるのかのか楽しみです。

※画像はAIで生成しました。

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森澤勇司(もりさわゆうじ) 能楽師小鼓方 1967年東京都生まれ。 テンプル大学在学中に見たこともない能楽界に入門し32歳で独立。 2000番以上の舞台に出演している。 43歳で脳梗塞で入院、 退院後、うつ状態克服のため心理学、脳科学を学ぶ。 復帰後は古典的な能楽公演を中心に活動している。 著書『ビジネス番「風姿花伝」の教え』 明治天皇生誕150年奉納能、 映画「失楽園」、大河ドラマ「秀吉」に 能楽師として出演。 2014年 重要無形文化財能楽保持者に選出される

曲目目次

あ行 か行 さ行 た行 な/は行 ま/や/ら行
(あ)
藍染川

葵上
阿漕
芦刈
安宅
安達原
敦盛
海士
海人
嵐山
蟻通
淡路

(い)
碇潜

生田敦盛
一角仙人
井筒
岩舟

(う)
鵜飼

浮舟
雨月
右近
歌占
善知鳥
采女

梅枝
雲林院
(え)
江口

江野島

烏帽子折
絵馬
(お)
老松

大江山
鸚鵡小町
大社

小塩
姨捨
大原御幸
小原御幸
女郎花
大蛇
(か)
杜若

景清
花月
柏崎
春日龍神
合浦
葛城
鉄輪
兼平
賀茂
通小町
邯鄲
咸陽宮
(き)
菊慈童

木曾

清経
金札
(く)
草薙
国栖

楠露
九世戸
熊坂
鞍馬天狗
車僧
呉服
黒塚

(け)
現在七面

源氏供養
玄象
絃上
月宮殿

(こ)
恋重荷

項羽
皇帝
高野物狂
小鍛治
小督
小袖曽我
胡蝶

(さ)
西行桜
逆矛

桜川
実盛
三笑

(し)
志賀
七騎落
自然居士
石橋
舎利
俊寛
春栄
俊成忠度
鍾馗
昭君
猩々
正尊
白鬚
代主

(す)
須磨源氏
隅田川
住吉詣

(せ)
西王母
誓願寺
善界
是界
是我意
関寺小町
殺生石
接待
蝉丸
禅師曽我
千手

(そ)
草子洗小町
草紙洗
卒都婆小町
(た)
大会
大典
大般若
大仏供養
大瓶猩々
第六天
當麻
高砂
竹雪
忠信
忠度
龍田
谷行
玉鬘
玉葛
玉井
田村

(ち)
竹生島
張良

(つ)
土蜘蛛
土車
経正
経政
鶴亀
(て)
定家
天鼓

(と)
東岸居士
道成寺
唐船
東方朔
東北
道明寺

木賊
知章

朝長
鳥追船
鳥追
(な)
仲光
難波
奈良詣
(に)
錦木
錦戸
(ぬ)

(ね)
寝覚
(の)
野宮
野守

(は)
白楽天
羽衣
半蔀
橋弁慶
芭蕉
鉢木
花筐
班女

(ひ)
飛雲
檜垣
雲雀山
氷室
百万

(ふ)
富士太鼓
二人静

藤戸
船橋
船弁慶
(ほ)
放下僧
放生川
仏原
(ま)
巻絹
枕慈童
枕慈童(カ
松風
松虫
松山鏡
満仲
(み)
三井寺

通盛
水無月祓
身延
三輪
(む)
六浦
室君
(め)
和布刈
(も)
望月
求塚
紅葉狩
盛久
(や)
屋島
八島
山姥
(ゆ)
夕顔
遊行柳
弓八幡
熊野
湯谷
(よ)
夜討曽我
楊貴妃
養老
吉野静
吉野天人
頼政
弱法師

(ら)

羅生門
(り)
龍虎
輪蔵
(ろ)
籠太鼓