人は納得したいもの

人は納得したいもの

ちょっと前に大人気の映画『国宝』みてきました。何回かみても面白そうな映画でした。

ネタバレは無しの感想を一言にすると
「人は納得したいもの」を実感しました。

歌舞伎を知らない人の歌舞伎役者に対するイメージが濃厚に反映されている感じがしました。

通常の歌舞伎役者だったら名門の何代目といイメージがあります。

人間国宝というタイトルホルダーだったら実は名門の生まれではないとかいじめられたとか、名門の坊ちゃんとは真逆の経歴を持って欲しいという理想像があるようです。

『巨人の星』や『ガラスの仮面』にも通じる昭和のヒーロー像が頭に浮かんできました。

人はそれぞれの職業にこうあって欲しいというイメージを持ってます。

ヒーロー像もやはりこうあって欲しいというイメージがあります。

素晴らしい経営者だったら、倒産寸前の会社。V字回復させて何倍にも成長させたとか、、

宝塚だったら誰がみてもすごい才能があるのに先輩からのいじめを乗り越えて大スターになり「厳しくしてくれた人がいたから今があります」と言っちゃうとか、

スポーツ選手だったら大怪我で引退しようとしていたが素晴らしいトレーナーと出逢って大スターになったとか

ロックミュージシャンだったら天才的才能に溺れてドラッグにハマって孤独を感じているとか

文豪だったら愛人が何人もいて最後に自殺してしまうとか、、

真面目な報道番組の裏ではヤラセがあるだろうとか

人はいろいろ思った通りが嬉しいものです。

「ほらね、私の思った通り!」

映画『国宝』はこんな歌舞伎の人間国宝の要素が盛りだくさんでした。

能楽師はどんなイメージなんだろ?

今までインタビューを受けた事や周りの人が質問されていることを思い出してみました。

「森澤さんは何代目なんですか?」
→私からです🙇

「森澤さんは小さい時からやってるんですよね」→20歳からです🙇

そんなことを総合すると知らない人が持っている模範的能楽師のイメージが見えてきました。

名門の何代目、小さい時から祖父、父から厳しい稽古を受けた。
辞めたいこともあったが背負ってきた家の重さを受け継いで一生命かけると決めた。周りの人からの人望信頼もあつく人間国宝になる。

古典の枠にとどまらず外国公演、他分野とのコラボも積極にしている。

こんな感じが模範的なキャラクターでしょうか。自分にはほぼ要素0で潔い感じがします。

自分の仕事の一般的なイメージとヒーローの模範的イメージ書き出してみると面白い発見があります。

話戻って映画『国宝』で一番リアルに思えたのは刺青の元カノ、、いるよな〜こういう人、、ここだけ現実かと思うようなリアリティがありました。

とにかく『国宝』に出てくる人物は模範的イメージで「ほらね、やっぱり」という納得欲を満たしてくれるものだと思いました。

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森澤勇司(もりさわゆうじ) 能楽師小鼓方 1967年東京都生まれ。 テンプル大学在学中に見たこともない能楽界に入門し32歳で独立。 2000番以上の舞台に出演している。 43歳で脳梗塞で入院、 退院後、うつ状態克服のため心理学、脳科学を学ぶ。 復帰後は古典的な能楽公演を中心に活動している。 著書『ビジネス番「風姿花伝」の教え』 明治天皇生誕150年奉納能、 映画「失楽園」、大河ドラマ「秀吉」に 能楽師として出演。 2014年 重要無形文化財能楽保持者に選出される

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