【問】「要約」と「具体的」の区別がつきません。

【問】「要約」と「具体化」の区別がつきません。

曲の「あらすじ」を要約するというのはわかるのですが、「風情」「雰囲気」を具体化するという意味がよくわかりません。

【答】「見えないもの」と「見えるもの」の違いです。

「要約」は曲の「あらすじ」など長いものを短くする事です。もちろん意味がわかるように短くする意味です。ニュースの見出し、小説のあらすじなども「要約」ですね。

さてご質問の「具体化」です。まず目に見えるものの「具体化」はさほど難しくはないです。
「文房具」→机の上の鉛筆
「人類」→私
「本」→本棚に入っている「風姿花伝」岩波文庫

このように、具体化は「ひとつ」しかないものです。パソコンのサポートに電話をしたことがある方なら製造番号を聞かれたことがあると思います。また銀行口座などもナンバーで管理されているひとつしかないものです。これが「具体化」です。


「武将」では複数ですが「義経」といえばひとりです。目に見える具体化はこうした固有のものです。目に見えるものは迷うことの無い一つにすれば具体化されます。

目に見えないものの具体化

目に見えないもの、例えば「気持ち」これを具体化することを解説していきます。これは「小鼓を打つため」という前提でお伝えします。

まず「気持ち」これは目に見えません。そして「気持ち」という感情は無いわけです。「私は気持ちがある」といってもどんな状態なのか全くわかりません。「気持ち」は「喜怒哀楽」全部含めたものですから抽象的な表現です。具体化の一例としては下記のようになります。

「気持ち」→「喜び」→「喜ぶ」→「舞う」

「気持ち」→「悲しみ」→「悲しむ」→「泣く」

このように、気持ちは動詞にかわることで具体的な動きになります。

ここまで具体化されると「舞う」を見て「喜ぶ」様子が感じられるでしょう。

「泣く」をみて「悲しみ」を感じるようになります。

さらに出来るように具体化する

ここで実際にやってみようとすれば「どうやって舞う?」という新たな疑問が出てきます。

「気持ち」→「喜び」→「喜ぶ」→「舞う」→「右手を前に出す」

このように具体的な動きがあれば実際にやってみることが出来ます。これは一例ですが「右手を前に出す」=「喜び」二はなりません。

「右手を前に出しす」ことで「喜び」を表現するのであれば、そう見えるように工夫する必要があります。

小鼓はこの「動き」に加え「音」の感じも加わってきます。実際の道具を使って稽古するのも大事です。また何も持たない手を打って音の感じを確認しておくとイメージがつかみやすいでしょう。

何れにしても「具体化」は紙の上でもパソコンでも出来ることです。その後の音の感じは個人の感覚によるところが大きくなります。

何も無ければ実際に手を打ってみて「喜び」が自分の中に湧いてくるのか「悲しい」気持ちになるのか、強弱を工夫し思ったような印象になるまでくりかえします。

このときに「あっいまのは違う」というジャッジよりも「今のはかわいい感じ」「今のは喜び」「今のは悲しみ」など自分の感じをはっきり言葉にしてみる事がおすすめです。今、表現しようと思う気持ちとは違うこともありますが、他の曲で使えることもあるからです。

こういう音の感じ方は実際にやってみなければわかりません。机上論になるよりも実際にやってみることが大事です。また稽古の時に試してみて思った通りの表現になるようにしていきましょう。

理想の能楽生活を楽しんでいきましょう。

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森澤勇司(もりさわゆうじ) 能楽師小鼓方 1967年東京都生まれ。 テンプル大学在学中に見たこともない能楽界に入門し32歳で独立。 1500番以上の舞台に出演している。 43歳で脳梗塞で入院、 退院後、うつ状態克服のため心理学、脳科学を学ぶ。 復帰後は古典的な能楽公演を中心に活動している。 著書『ビジネス番「風姿花伝」の教え』 明治天皇生誕150年奉納能、 映画「失楽園」、大河ドラマ「秀吉」に 能楽師として出演。 2014年 重要無形文化財能楽保持者に選出される

曲目目次

あ行 か行 さ行 た行 な/は行 ま/や/ら行
(あ)
藍染川

葵上
阿漕
芦刈
安宅
安達原
敦盛
海士
海人
嵐山
蟻通
淡路

(い)
碇潜

生田敦盛
一角仙人
井筒
岩舟

(う)
鵜飼

浮舟
雨月
右近
歌占
善知鳥
采女

梅枝
雲林院
(え)
江口

江野島

烏帽子折
絵馬
(お)
老松

大江山
鸚鵡小町
大社

小塩
姨捨
大原御幸
小原御幸
女郎花
大蛇
(か)
杜若

景清
花月
柏崎
春日龍神
合浦
葛城
鉄輪
兼平
賀茂
通小町
邯鄲
咸陽宮
(き)
菊慈童

木曾

清経
金札
(く)
草薙
国栖

楠露
九世戸
熊坂
鞍馬天狗
車僧
呉服
黒塚

(け)
現在七面

源氏供養
玄象
絃上
月宮殿

(こ)
恋重荷

項羽
皇帝
高野物狂
小鍛治
小督
小袖曽我
胡蝶

(さ)
西行桜
逆矛

桜川
実盛
三笑

(し)
志賀
七騎落
自然居士
石橋
舎利
俊寛
春栄
俊成忠度
鍾馗
昭君
猩々
正尊
白鬚
代主

(す)
須磨源氏
隅田川
住吉詣

(せ)
西王母
誓願寺
善界
是界
是我意
関寺小町
殺生石
接待
蝉丸
禅師曽我
千手

(そ)
草子洗小町
草紙洗
卒都婆小町
(た)
大会
大典
大般若
大仏供養
大瓶猩々
第六天
當麻
高砂
竹雪
忠信
忠度
龍田
谷行
玉鬘
玉葛
玉井
田村

(ち)
竹生島
張良

(つ)
土蜘蛛
土車
経正
経政
鶴亀
(て)
定家
天鼓

(と)
東岸居士
道成寺
唐船
東方朔
東北
道明寺

木賊
知章

朝長
鳥追船
鳥追
(な)
仲光
難波
奈良詣
(に)
錦木
錦戸
(ぬ)

(ね)
寝覚
(の)
野宮
野守

(は)
白楽天
羽衣
半蔀
橋弁慶
芭蕉
鉢木
花筐
班女

(ひ)
飛雲
檜垣
雲雀山
氷室
百万

(ふ)
富士太鼓
二人静

藤戸
船橋
船弁慶
(ほ)
放下僧
放生川
仏原
(ま)
巻絹
枕慈童
枕慈童(カ
松風
松虫
松山鏡
満仲
(み)
三井寺

通盛
水無月祓
身延
三輪
(む)
六浦
室君
(め)
和布刈
(も)
望月
求塚
紅葉狩
盛久
(や)
屋島
八島
山姥
(ゆ)
夕顔
遊行柳
弓八幡
熊野
湯谷
(よ)
夜討曽我
楊貴妃
養老
吉野静
吉野天人
頼政
弱法師

(ら)

羅生門
(り)
龍虎
輪蔵
(ろ)
籠太鼓