日本書紀 完読会第4期 12週目感想
124−159
争いの構図、兄弟喧嘩。ホムツワケ王から日本武尊、仲哀天皇の御代に入ってからの白鳥を読んでいると火の鳥が頭に浮かぶ。全てを見ている何かの使いもしくはメッセンジャーのような存在。他者としてみればそう見えるが、これは人の内面が作り出すイメージの世界を現実に見える鳥にとうえいしているのだろう。蒲見別王の白い鳥も焼けば黒くなる発言は当時の権力者の一端を表しているようだ。歴史を描いた映画は西洋、日本問わず権力者の家に生まれた勘違い野郎がキャラクターとして登場する。
昨今の講演会ではなぜが架空の日本礼賛も流行っていて歴代天皇は国民の平和を祈り続けているという希望的な思想をきょうようしてくる圧がある。記録だけでもこれだけ仏こごうと思えることが記載されているのだから現実はそれぞれに記載されない大きな事件は多発していたのではないかと推測している。
天岩戸の時の榊の仕立て、たびたび登場する榊にものをつける形態はこの当時の定番だったのか。旗を立てる感覚に近いように思った。
国産みで九州を産み、天孫降臨でその子孫が九州に降り統治する。一旦東征で出ていった後を支配する熊襲は何世代にもわったって懲りないように思うが熊襲が天下をとっていたら現代の神話は熊襲由来のものになっていただろう。
神功皇后の出産、山門県の田油津姫など、周辺の登場人物を思い浮かべれば現実に近いように思う。死亡を公にしないことはよくあること。出産をこうにしなかったことが伝説になっているのだろう。誕生日を出生が違うことは戦前までは普通にあること。
日本書紀と古事記の立場の違いが明確な箇所でもある。聖書のサウル王の記載も読み返そうと思う。
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森澤勇司(もりさわゆうじ)
能楽師小鼓方
1967年東京都生まれ。
テンプル大学在学中に見たこともない能楽界に入門し32歳で独立。
2000番以上の舞台に出演している。
43歳で脳梗塞で入院、
退院後、うつ状態克服のため心理学、脳科学を学ぶ。
復帰後は古典的な能楽公演を中心に活動している。
著書『ビジネス番「風姿花伝」の教え』
明治天皇生誕150年奉納能、
映画「失楽園」、大河ドラマ「秀吉」に
能楽師として出演。
2014年 重要無形文化財能楽保持者に選出される
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