じゅごんと美知の正体は?

じゅごんとアシカ

今日はイメージするものと現物の違いについてです。

じゅごんとアシカ

朝活で『源氏物語』『日本書紀•古事記』『聖書』を読んでます。

海がわれる場面だけが有名な「出エジプト記Exodus」に主がモーセに天幕建設の指示を与える場面があります。

「主はモーセに仰せになった。 イスラエルの人々に命じて、わたしのもとに献納物を持って来させなさい。あなたたちは、彼らがおのおの進んで心からささげるわたしへの献納物を受け取りなさい。 彼らから受け取るべき献納物は以下のとおりである。金、銀、青銅、 青、紫、緋色の毛糸、亜麻糸、山羊の毛、赤く染めた雄羊の毛皮、⭕️じゅごんの皮⭕️、アカシヤ材、 ともし火のための油、聖別の油と香草の香とに用いる種々の香料、 エフォドや胸当てにはめ込むラピス・ラズリやその他の宝石類である。」出エジプト記‬ ‭新共同訳‬

ここにじゅごんの皮?美ら海水族館でじゅごんに似たマナティを見たのでこの皮??という疑問が浮かんできます。

この部分英語では下記のようになっています。

「tanned rams’ skins, goatskins, acacia wood,」Exodus‬

ゴートスキン??だいぶ違いますね。

英語の『聖書』を読んでいる人と日本語の『聖書』を読んでいる人の頭の中が”じゅごん”と”山羊”ではだいぶ違います。Goatにはスラングで”最高な”という意味があるらしいですが、、英語に詳しい方教えてください。

ヘブライ語では下記の表記になるようです。
「וְעָשִׂ֤יתָ מִכְסֶה֙ לָאֹ֔הֶל עֹרֹ֥ת אֵילִ֖ם מְאָדָּמִ֑ים וּמִכְסֵ֛ה עֹרֹ֥ת תְּחָשִׁ֖ים מִלְמָֽעְלָה׃ פ」
Exodus‬ ‭26‬:‭14‬ ‭WLC

עֹרֹת תְּחָשִׁים
Google翻訳にかけてみると「暗い夜」?
オーロート・テハシームの絶対的な答えはないようです。

ここで日本神話に登場する謎の海洋生物の皮と比較して見たいと思います。海幸彦•山幸彦神話の場面です。

山幸彦(彦火火出見尊→神武天皇の祖父)が海の宮にゆき海神にもてなされる場面です。

「この時に海神、自ら迎えてひきいれて、乃ち⭕️海驢(みち)の皮、八重を舗設きて、その上に坐えたてまつらしむ。」『日本書紀』一書

「尓して海の神自ら出で見、云はく、「此の人は、天津日の御子、虚空津日ぞ」といふ。内に率入れまつりて、⭕️美知(みち)の皮の畳八重を敷き、また絁畳八重を其の上に敷き、其の上に坐せて、百取の机代の物を具へ、御饗為。其の女豊玉毗売を婚かしむ。故三年に至るまで、其の国に住みたまふ。」『古事記』

海驢(みち)は何かといえば海驢(アシカ)です。
動物園で鼻の上にボールを乗せている動物の皮かと思うと不思議な感じです。

これは普通に「あしか」と入力すれば「海驢」と変換できます。

ここで海神はアシカの皮を敷物にして彦火火出見尊をもてなしたのかと思ってしまいますが現在と千数百年前の海驢が現在のアシカのことなのかどうかはわかりません。

同じ海洋生物の皮でもモーセは天幕に使い、海神は敷物にしていた。

似たような皮をどこに使うのかでも文化風習の違いが感じられます。

自分の国の常識は他国の非常識という事は多々あります。

とはいえ『聖書』を深く読みたくなったのはこの「じゅごんの皮」がきっかけでもあります。

そんな人に向けて翻訳者が仕掛けてくれていたの想像するのも楽しい世界です。

※画像は美ら海水族館のマナティです。

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森澤勇司(もりさわゆうじ) 能楽師小鼓方 1967年東京都生まれ。 テンプル大学在学中に見たこともない能楽界に入門し32歳で独立。 2000番以上の舞台に出演している。 43歳で脳梗塞で入院、 退院後、うつ状態克服のため心理学、脳科学を学ぶ。 復帰後は古典的な能楽公演を中心に活動している。 著書『ビジネス番「風姿花伝」の教え』 明治天皇生誕150年奉納能、 映画「失楽園」、大河ドラマ「秀吉」に 能楽師として出演。 2014年 重要無形文化財能楽保持者に選出される

曲目目次

あ行 か行 さ行 た行 な/は行 ま/や/ら行
(あ)
藍染川

葵上
阿漕
芦刈
安宅
安達原
敦盛
海士
海人
嵐山
蟻通
淡路

(い)
碇潜

生田敦盛
一角仙人
井筒
岩舟

(う)
鵜飼

浮舟
雨月
右近
歌占
善知鳥
采女

梅枝
雲林院
(え)
江口

江野島

烏帽子折
絵馬
(お)
老松

大江山
鸚鵡小町
大社

小塩
姨捨
大原御幸
小原御幸
女郎花
大蛇
(か)
杜若

景清
花月
柏崎
春日龍神
合浦
葛城
鉄輪
兼平
賀茂
通小町
邯鄲
咸陽宮
(き)
菊慈童

木曾

清経
金札
(く)
草薙
国栖

楠露
九世戸
熊坂
鞍馬天狗
車僧
呉服
黒塚

(け)
現在七面

源氏供養
玄象
絃上
月宮殿

(こ)
恋重荷

項羽
皇帝
高野物狂
小鍛治
小督
小袖曽我
胡蝶

(さ)
西行桜
逆矛

桜川
実盛
三笑

(し)
志賀
七騎落
自然居士
石橋
舎利
俊寛
春栄
俊成忠度
鍾馗
昭君
猩々
正尊
白鬚
代主

(す)
須磨源氏
隅田川
住吉詣

(せ)
西王母
誓願寺
善界
是界
是我意
関寺小町
殺生石
接待
蝉丸
禅師曽我
千手

(そ)
草子洗小町
草紙洗
卒都婆小町
(た)
大会
大典
大般若
大仏供養
大瓶猩々
第六天
當麻
高砂
竹雪
忠信
忠度
龍田
谷行
玉鬘
玉葛
玉井
田村

(ち)
竹生島
張良

(つ)
土蜘蛛
土車
経正
経政
鶴亀
(て)
定家
天鼓

(と)
東岸居士
道成寺
唐船
東方朔
東北
道明寺

木賊
知章

朝長
鳥追船
鳥追
(な)
仲光
難波
奈良詣
(に)
錦木
錦戸
(ぬ)

(ね)
寝覚
(の)
野宮
野守

(は)
白楽天
羽衣
半蔀
橋弁慶
芭蕉
鉢木
花筐
班女

(ひ)
飛雲
檜垣
雲雀山
氷室
百万

(ふ)
富士太鼓
二人静

藤戸
船橋
船弁慶
(ほ)
放下僧
放生川
仏原
(ま)
巻絹
枕慈童
枕慈童(カ
松風
松虫
松山鏡
満仲
(み)
三井寺

通盛
水無月祓
身延
三輪
(む)
六浦
室君
(め)
和布刈
(も)
望月
求塚
紅葉狩
盛久
(や)
屋島
八島
山姥
(ゆ)
夕顔
遊行柳
弓八幡
熊野
湯谷
(よ)
夜討曽我
楊貴妃
養老
吉野静
吉野天人
頼政
弱法師

(ら)

羅生門
(り)
龍虎
輪蔵
(ろ)
籠太鼓