「怒り」と「正義」
「怒り」と「正義」
今日は朝活で『古事記』読了
次回は6月6日から『日本書紀』完読会9期始まります。
今まで誘われたり探したりして多くの『古事記』の勉強会や講演会に参加した事があります。神職や大学の研究者以外の方々が講師のことも多いです。
そのほとんどの講師が『古事記』原文を読んでない??中には「原文は読んでない」と公言している人もいて驚きます。
人に教えるなら原文を全く読んでないってあり得ないな〜と「怒り」の感情とともに自分が「正義」だと思う事がありました。
とはいえ「ゴジラ」をみていて「実際の政府と違う!!」と「怒り」が湧いてくることはないのです。『水戸黄門』をみて水戸光圀はそんなことしてないと「怒り」もない。
この違いってなんなのか。6月11日に勤める能「大六天」にも「スサノウなほも怒り給い」という言葉が入ってます。
不動明王も「怒り」の相、正義マウントをする時、人、仏、正義のヒーロー、ほとんど全てが「怒り」を表に出してます。
「怒り」はIQを下げるという説もあります。日常に共感を得られにくい「怒り」をどう捉えるのか。宮本武蔵の教えが非常に有効と感じてます。実際、毎日使っていたら心のコントロールは楽になってきました。
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むかつかするといふ事
むかつかするといふは、物毎にあり。一つにはきわどき心、二つにはむりなる心、三つには思はざる心、能く吟味有るべし。『五輪書』より
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正常な判断ができないようにむかつかせ「怒り」を誘発する心理戦法として語られてます。
どうやってむかつかせるかと言えば
①際どき心→ギリギリ
②無理なる心→限界を超えた事
③思わざる心→想定外
この3つを仕掛けるように宮本武蔵は語ります。
①際どき心
日常では、全部をギリギリにせめる。反則ギリギリ、返事を遅らせる。無視する。相手の信条に反するギリギリをする。犯罪ギリギリ、遅刻ギリギリ、終了間際に長い話やめんどくさい質問をする。などなど、悪いとは言い切れないギリギリのことを繰り返されると人はムカついてきます。
②無理なる心
辞書一冊明日までに覚えます!!マラソン1時間で走ってみてみます。、、など「無理!!!」そうした事を聞かされても人はむかつき「怒り」やすくなります。
③思わざる心
想定外、スタートしてないのにフライングで全力疾走してくる。公式な場で挨拶しない。不意打ちなどなど、常識から外れていると思うようなこと、このFacebookで長文垂れ流しているのも人によっては①②③の条件を満たすむかつきになっているかもしれません。
それぞれについては、さらっと紹介しましたが現代でも使う言葉ばかりなので意味がわからないようなものではありません。
よく人にムカつかれる人は天然で①②③を仕掛けて相手をむかつかせ「怒り」を引き出すことに成功しています。ある意味「怒らせ名人」です。
そして
この「ムカつかする」は人に仕掛けるものであって、自分から「ムカつく」ことはあり得ません。
なぜなら、これは正常な判断をさせなくするための心理戦法だからです。
どんなに仕掛けられても「その程度じゃまだまだ平常心」とニコニコしていたら、、仕掛けた相手がどんどんムカついてきます。
どんなことであっても自分からムカついたら斬られてしまう。自分が不利になるだけです。
それなので戦いにおいて、計画的に相手を「ムカつかする」ことはあっても自分から「ムカつく」はあり得ないことです。
とはいえ、人はわかっていてもムカついてくる。
自分がムカつきそうになったとき、心の器の「抜き打ちテストきたな」と受け取ってみれば、素晴らしいトレーニング環境はあちこちにあります。
これを知った時から、自分からムカつくようなことはなくなりました。
「怒り」の裏側には自分が正しいという「正義」があります。
道理や常識という正義が強い人には「ムカつかする事」は有効です。
自分が正義感が強いと感じる方は「ムカつかする事」を仕掛けられても「甘いな」とスルーできるようにすると判断力が迷走せず心の健康が保てます😃
「怒り」は心身を害します。
世阿弥の言葉も参考になれば幸いです。
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182心を十分に動かして身を七分に動かせ
手を動かす、足を動かす。やり方を覚え、その一つひとつを十分に習得した後、日立とうとする気持ちがあれば控えめにしておいたほうが美しく強いメッセージができる。
これは舞台の所作に限らず日常の立ち居振る舞いや言動でもコンパクトに伝えることを心がければ所作が器になり、中に入る目的も明確に強いメッセージになる。『花鏡』
『超訳 世阿弥』より
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