「マンネリ」と「磨く」

「マンネリ」と「磨く」

今日は舞台で3曲勤めてから式典の司会します。学生の時にテキトーに勉強していたせいなのか大人になってから年々学ぶ事が増えて受験生のような生活になっています。

ある意味「三昧」ですね😃

毎日、同じ事を繰り返すと「あきる」の壁にぶつかる事があります。

本を読んでいてもあきてくる。

ゲームをしていてもあきてくる。

そんな中で何百年も前からある能楽を40年近くしています。

朝活もリアルからclubhouse、ズームと形を変えて2014年から11年👀

朝はトイレ→洗面所→朝活

5:00『源氏物語』
5:15『日本書紀』
5:30-45『聖書』

その後、今季に使う小鼓(こつづみ)を組んで音の確認するのが日課になってます。

小鼓の革は打つ面が0.3mm、裏が0.2mmです。

神と同じく0.01mmちがうとだいぶ感じが変わります。

天然物ですから厚さのムラがあったり、湿度に影響されやすい、されにくいなどハリ具合が日々変わります。

ピッタリ組合せられたと思っても舞台で響かなかったり、次の日、バランスが崩れている事が日常です。

以前は、その時に鳴るまで何時間でも組合せを変えていました。

コロナ禍でようやく待つ事ができるようになりました。

時間があったので味噌を作る機会がありました。

その時に、仕込んだ時の味、数ヶ月経ってからの味の違いを実際に口に入れて体感する事ができました。

組合せを決めて組んだばかりの道具は「仕込んだばかりの味噌」のような状態です。

組んだら何日か置いて、馴染んだ頃にまた打ってを繰り返して5年ほどで組み替える回数も落ち着いてきました。

小鼓は時間のかかる楽器です。革は100年くらい打ち込むとよいと言われています。

入った時には小鼓は三代かけて育てていくとききました。

胴は入手すればすぐ使えます。革はなかなか思うようにはいきません。

古い革は高額な上に修理が必要なものが多いです。

新しい革は100年とは行かないまでも10年は打たないと様子が見えてきません。

とある代々続く家には、使える道具が何十組とあるのが普通ですからここはなかなか越えられない壁があります。

これを3日で埋めるのはほぼ不可能。

3分で100時間煮込んだカレーをつくるくらいのハードルです。

圧力鍋のように革にテンションをかけ続け緩ませる人もいるようですが、、、長持ちしません。ドーピング的な発想はしない方が健全です。

そこで入手する道具の基準を決めて選び直しました。

厚さ0.35mm、裏は0.20-0.23
パンパンに張っている状態でも抜ける音が出る組合せ。

この絞った中で日々の天候の影響で組み直していきます。

そんなことをしていると「マンネリ」と感じる暇もなく毎日同じ事を続けてしまってます。

毎日同じなのは「時間枠」です。「中身」は目まぐるしく変わります。そして死活問題でもあります。

「マンネリ」はきっと「中身」に変化を感じないのかもしれないですね。

気分を変えても目的が無いことに取り組むのはなかなか辛いものがあります。

というわけで本日「江口」「半蔀」「花月」三曲を打つ道具を決めようと思います。

 

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森澤勇司(もりさわゆうじ) 能楽師小鼓方 1967年東京都生まれ。 テンプル大学在学中に見たこともない能楽界に入門し32歳で独立。 2000番以上の舞台に出演している。 43歳で脳梗塞で入院、 退院後、うつ状態克服のため心理学、脳科学を学ぶ。 復帰後は古典的な能楽公演を中心に活動している。 著書『ビジネス番「風姿花伝」の教え』 明治天皇生誕150年奉納能、 映画「失楽園」、大河ドラマ「秀吉」に 能楽師として出演。 2014年 重要無形文化財能楽保持者に選出される

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曲目目次

あ行 か行 さ行 た行 な/は行 ま/や/ら行
(あ)
藍染川

葵上
阿漕
芦刈
安宅
安達原
敦盛
海士
海人
嵐山
蟻通
淡路

(い)
碇潜

生田敦盛
一角仙人
井筒
岩舟

(う)
鵜飼

浮舟
雨月
右近
歌占
善知鳥
采女

梅枝
雲林院
(え)
江口

江野島

烏帽子折
絵馬
(お)
老松

大江山
鸚鵡小町
大社

小塩
姨捨
大原御幸
小原御幸
女郎花
大蛇
(か)
杜若

景清
花月
柏崎
春日龍神
合浦
葛城
鉄輪
兼平
賀茂
通小町
邯鄲
咸陽宮
(き)
菊慈童

木曾

清経
金札
(く)
草薙
国栖

楠露
九世戸
熊坂
鞍馬天狗
車僧
呉服
黒塚

(け)
現在七面

源氏供養
玄象
絃上
月宮殿

(こ)
恋重荷

項羽
皇帝
高野物狂
小鍛治
小督
小袖曽我
胡蝶

(さ)
西行桜
逆矛

桜川
実盛
三笑

(し)
志賀
七騎落
自然居士
石橋
舎利
俊寛
春栄
俊成忠度
鍾馗
昭君
猩々
正尊
白鬚
代主

(す)
須磨源氏
隅田川
住吉詣

(せ)
西王母
誓願寺
善界
是界
是我意
関寺小町
殺生石
接待
蝉丸
禅師曽我
千手

(そ)
草子洗小町
草紙洗
卒都婆小町
(た)
大会
大典
大般若
大仏供養
大瓶猩々
第六天
當麻
高砂
竹雪
忠信
忠度
龍田
谷行
玉鬘
玉葛
玉井
田村

(ち)
竹生島
張良

(つ)
土蜘蛛
土車
経正
経政
鶴亀
(て)
定家
天鼓

(と)
東岸居士
道成寺
唐船
東方朔
東北
道明寺

木賊
知章

朝長
鳥追船
鳥追
(な)
仲光
難波
奈良詣
(に)
錦木
錦戸
(ぬ)

(ね)
寝覚
(の)
野宮
野守

(は)
白楽天
羽衣
半蔀
橋弁慶
芭蕉
鉢木
花筐
班女

(ひ)
飛雲
檜垣
雲雀山
氷室
百万

(ふ)
富士太鼓
二人静

藤戸
船橋
船弁慶
(ほ)
放下僧
放生川
仏原
(ま)
巻絹
枕慈童
枕慈童(カ
松風
松虫
松山鏡
満仲
(み)
三井寺

通盛
水無月祓
身延
三輪
(む)
六浦
室君
(め)
和布刈
(も)
望月
求塚
紅葉狩
盛久
(や)
屋島
八島
山姥
(ゆ)
夕顔
遊行柳
弓八幡
熊野
湯谷
(よ)
夜討曽我
楊貴妃
養老
吉野静
吉野天人
頼政
弱法師

(ら)

羅生門
(り)
龍虎
輪蔵
(ろ)
籠太鼓