「和」と「同」の違い

「和」と「同」の違い
朝活は『春秋左氏伝』『日本書紀』読了『聖書』
『日本書紀』は本日終了、また希望者がいたら初めから読もうと思います。日本人なら一度は国の正史を読んでおこうと思う方お待ちしています。
今日は『春秋左氏伝』昭公二十年(紀元前522)の記述が印象に残りました。
王様が一人の家臣を「あいつだけが自分と和するなぁ」という
その側近が「彼は同であって和とは言えません」と答える。
王様は「和と同はべつなのか?」と問う
和とは羹スープを作るようなもの
水と火、酢、醢、塩、梅を用いて魚や肉を煮込み、薪で熱を加えて調理人が調和させる。
味が足らなければたし、濃すぎれば薄め君子の心が満足するようにする。
君臣の関係も同様に国王が可としても不可な部分があれば進言し、国王が不可な部分も可に変えて平穏で礼儀に沿った政治を行う。そうして国民の不要な争奪の心がなくなる。
音楽、もの、剛柔、緩急、などなど質の異なるものが調和し国王の心が和むことが「和」だといいます。
それとは別にはじめに国王が和といった臣下は国王が可といえば可といい、不可と言えば不可という。
これは同であって和ではないと進言します。
水で水を調理する。楽器が全て同じ旋律を奏でる。このように同は発展的にならない。
また国王がいいます。
「死がなかったらもっと楽しめそうだ」
その側近はまた答えます。
死がなかったら初代の王がずっと権力を持ったまま今の王の役割が回ってくることはなかったでしょう。
「和」と思っていても「同」
人は立場が上になるごとに「和」よりも「同」を求めるようになります。
※画像はAIで生成しました。
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森澤勇司(もりさわゆうじ)
能楽師小鼓方
1967年東京都生まれ。
テンプル大学在学中に見たこともない能楽界に入門し32歳で独立。
2000番以上の舞台に出演している。
43歳で脳梗塞で入院、
退院後、うつ状態克服のため心理学、脳科学を学ぶ。
復帰後は古典的な能楽公演を中心に活動している。
著書『ビジネス番「風姿花伝」の教え』
明治天皇生誕150年奉納能、
映画「失楽園」、大河ドラマ「秀吉」に
能楽師として出演。
2014年 重要無形文化財能楽保持者に選出される
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