【日本の星】野尻抱影 著
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毎日1分!朝活読書。
vol.316 2011年7月27日配信
『日本の星』
野尻 抱影 著
中公文庫
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『わたしは「万葉」の長歌に「雨雲に磐船浮かべ」
などとある天の磐楠船のことを、このフナボシから
空想した。』
本書より
▼「和名とは?」
日本でもともと使われていた
星の名前を約700あつめ
その由来や物語を知ることができる一冊です。
著者は「冥王星」の命名者としても知られています。
「北斗七星」は比較的有名な星の連なりを
表す言葉ですが、こうした呼び名が
中国から入る以前に、日本独自の呼び名が
あったのでは無いかという観点から
考察が始まります。
古典文献や方言での表現方法など
出典もはっきりしているので、
自分で確認する際にも役立ちます。
「北斗」だけでも「ななつぼし」「四三の星」
「鍵星」「舵星」「七曜の星」「ななよの星」
「ひしゃく星」「ふなぼし」その他
いろいろな呼び名が紹介されています。
紹介されている文献では
「北斗(ほくと)南斗(なんしゅ)」
と読み方が違うことも調査が及び
万葉集や謡曲にとどまらず
漢詩までも対比させて研究されて
いる事には驚きます。
また興味深いのは日本では
同じ星の連なりでも向きによって名前が
変わる物が多いことです。
横三つに見えるとき、縦三つに見えるときでは
名前が変わってしまいます。
こうした呼び名の特徴は古典を
読む際にも役立つと思います。
しかしこれは不思議な事ではなく
「月」も「新月」「三日月」「満月」と
呼び名が変わることと同じです。
「ごはん」が「ライス」になって
しまった現在、もともと星がどんな名前で
よばれていたか興味を持つことも
自国の文化への意識を
高めてくれると思います。
是非読んでください。
_____
▼編集後記
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
今日もありがとうございます。
森澤勇司です。
日本というのは不思議な国で
日本文化を大切にしようと言いながら、
実際に大切にしているのは
明治以後にできた新しい習慣や
近年作られたイベントや行事だったり、
マナーブックで誰かが提唱し始めたこと
が少なくありません。
この本で言っている星の名前もそうですし、
色の名前はもう特殊な分野でしか
使われなくなっています。
季節にしてもどこが季節の変わりかも
明確には答えられないですし、
諸説別れてしまっています。
明治の改暦以前に、現在、使っている
グレゴリオ暦の日付に節句やお盆があるはずもなく、
伝統ではないことは明らかです。
動植物も暦もなぜか日本は外来のものが強いですね。
さかのぼってみれば稲や文字も
全部外来です。
あと何年もたたないうちに色はほぼ
カタカナになってしまうのではないかと
予想しています。
ピンクの着物にブルーの帯、そんな感じでしょうか。
このピンクは桜なのか桃なのか撫子なのか、
カラーの区別もやはりカタカナで
表記するようになりそうですよね。
「和名とは?」
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