同じに見えて違うもの

「結び」と「縛り」

今日は『日本書紀』完読会も5名が参加。
日本最古の公式な歴史書とは言いながら全部を読む人は多くはありません。

興味が出た時は一人でしたが、参加していただける方のおかげでじわっと興味を持つ方、原典を読む必要性を感じる方が増えてきて嬉しいです。

『日本書紀』はそのまま中国語発音で読みそうなところに発音を助ける記載があります。

こんな感じになってます。

「皇産霊、比をば美武須毗と云ふ」

コウサンリョウではなく「みむすひ」と読むと記載があります。

そんな中で「むすひ」の話題になりました。

「結び」と「縛り」

 

人は結びつきを求めるし良縁で結ばれたいと思っています。

これが行き過ぎると縛られていると思うようになります。

ちょっとした「今どこ?」というLINEも初めのうちは心配してくれている、気にしてくれている、覚えてくれているなどなど受け取り方も友好的です。

結ばれて、喧嘩したりしてくると同じ「今どこ?」も早く帰ってこいなのか、いちいち連絡してくるなと思ったり縛られているように感じることがあります。

受け取り方だけでなく、人の行動を把握したくなってきたら縛りモードになっている事もあります。

野菜の自給していた時、ナスやトマト、トウモロコシなどの支柱を立ててました。

この時に、農園にある細い麻ひもで支柱を固定していきます。

慣れてないせいか緩む事が多かったのでプラスチックの結束バンドでガチガチ固定していきました。

効果抜群で緩むことはないのですが、なんとなしにメールや電話の「今どこ?」が苦しく感じるようになりました。

まさに「縛」られている感じです。

意味付けはともかく精神状態と行為や感じ方はリンクする事があります。

「これってよくないな」と直感的に感じました。

その跡、世阿弥の高貴な人のセリフには使わない言葉を知ります。

地震の後だったので実感持って感じられた事がありました。

本を積み上げていれば「崩れる」事が気になります。

突っ張り棒を多用していれば「落ちる」こと

立てかけてあるものが多ければ「倒れる」事が気になります。

部屋の状態と心配事はリンクしている事を実感しました。

「落ちる」事を心配していれば頭の中で「落ちる」が繰り返されますから関係あるものを見つけやすくなります。

「結び」と「縛り」もただ紐を結んだだけでは区別がつきません。

蝶結びはあるけど蝶縛りは連想がなかったので「蝶結び」採用となりました。

そして結束バンドは全て取り除き、少しキレイ目な麻ひもで丁寧に結び直しました。

その時に結び目もギチっと固結びにせず蝶結びにしました。

全てをそのように「縛る」から「結ぶ」に変えてみると「今どこ?」も縛られている感じはしなくなりました。

ネクタイも「締める」「結ぶ」でだいぶ感じる事が変わります。

普段、どんな表現を多用しているか観察してみると自分のセンサーを知ることができます。

※画像はAIで生成しました。

——————

19 言動一致の世界観をつくる

「なびく」「臥す」「帰る」「寄る」という言葉は柔らかい響きなので自然に動きも柔らかくなる。

「落つる」「崩るる」「破るる」「転ぶ」という言葉は強い響きなので自然に動きも強くなる。強い、幽玄は別々に存在するのではない。登場人物の発する言葉に動きがついた素直な統一感のあるものなのだ。統一感のない弱い、荒いは表現の素直さからは外れて、伝わりにくいものである。
『風姿花伝』
『超訳 世阿弥』

The following two tabs change content below.
森澤勇司(もりさわゆうじ) 能楽師小鼓方 1967年東京都生まれ。 テンプル大学在学中に見たこともない能楽界に入門し32歳で独立。 2000番以上の舞台に出演している。 43歳で脳梗塞で入院、 退院後、うつ状態克服のため心理学、脳科学を学ぶ。 復帰後は古典的な能楽公演を中心に活動している。 著書『ビジネス番「風姿花伝」の教え』 明治天皇生誕150年奉納能、 映画「失楽園」、大河ドラマ「秀吉」に 能楽師として出演。 2014年 重要無形文化財能楽保持者に選出される

最新記事 by 森澤勇司 (全て見る)

曲目目次

あ行 か行 さ行 た行 な/は行 ま/や/ら行
(あ)
藍染川

葵上
阿漕
芦刈
安宅
安達原
敦盛
海士
海人
嵐山
蟻通
淡路

(い)
碇潜

生田敦盛
一角仙人
井筒
岩舟

(う)
鵜飼

浮舟
雨月
右近
歌占
善知鳥
采女

梅枝
雲林院
(え)
江口

江野島

烏帽子折
絵馬
(お)
老松

大江山
鸚鵡小町
大社

小塩
姨捨
大原御幸
小原御幸
女郎花
大蛇
(か)
杜若

景清
花月
柏崎
春日龍神
合浦
葛城
鉄輪
兼平
賀茂
通小町
邯鄲
咸陽宮
(き)
菊慈童

木曾

清経
金札
(く)
草薙
国栖

楠露
九世戸
熊坂
鞍馬天狗
車僧
呉服
黒塚

(け)
現在七面

源氏供養
玄象
絃上
月宮殿

(こ)
恋重荷

項羽
皇帝
高野物狂
小鍛治
小督
小袖曽我
胡蝶

(さ)
西行桜
逆矛

桜川
実盛
三笑

(し)
志賀
七騎落
自然居士
石橋
舎利
俊寛
春栄
俊成忠度
鍾馗
昭君
猩々
正尊
白鬚
代主

(す)
須磨源氏
隅田川
住吉詣

(せ)
西王母
誓願寺
善界
是界
是我意
関寺小町
殺生石
接待
蝉丸
禅師曽我
千手

(そ)
草子洗小町
草紙洗
卒都婆小町
(た)
大会
大典
大般若
大仏供養
大瓶猩々
第六天
當麻
高砂
竹雪
忠信
忠度
龍田
谷行
玉鬘
玉葛
玉井
田村

(ち)
竹生島
張良

(つ)
土蜘蛛
土車
経正
経政
鶴亀
(て)
定家
天鼓

(と)
東岸居士
道成寺
唐船
東方朔
東北
道明寺

木賊
知章

朝長
鳥追船
鳥追
(な)
仲光
難波
奈良詣
(に)
錦木
錦戸
(ぬ)

(ね)
寝覚
(の)
野宮
野守

(は)
白楽天
羽衣
半蔀
橋弁慶
芭蕉
鉢木
花筐
班女

(ひ)
飛雲
檜垣
雲雀山
氷室
百万

(ふ)
富士太鼓
二人静

藤戸
船橋
船弁慶
(ほ)
放下僧
放生川
仏原
(ま)
巻絹
枕慈童
枕慈童(カ
松風
松虫
松山鏡
満仲
(み)
三井寺

通盛
水無月祓
身延
三輪
(む)
六浦
室君
(め)
和布刈
(も)
望月
求塚
紅葉狩
盛久
(や)
屋島
八島
山姥
(ゆ)
夕顔
遊行柳
弓八幡
熊野
湯谷
(よ)
夜討曽我
楊貴妃
養老
吉野静
吉野天人
頼政
弱法師

(ら)

羅生門
(り)
龍虎
輪蔵
(ろ)
籠太鼓