鶯が歌を詠む国のことば

 

今日の朝活は『源氏物語』柏木、『日本書紀』応神天皇、『聖書』ヨシュア記

「日本」という単語は不思議な単語です。
『日本書紀』は「日本(耶摩騰)」

「ひのもと」「にほん」「にっぽん」など前後の文脈で読み方が変わります。

能「白楽天」の中で中国から来た「白楽天」と日本の漁師の会話ではこの発音を使い分けている場面があります。

白楽天「われ萬里の波濤をしのぎ日本(ニッポン)の地にも着きぬ」

そこで漁師を見つけます。

白楽天「いかにあれなるは日本(ニッポン)の者か」

漁師「さん候、これは日本(にほん)の漁翁にて候」

流儀にもよりますが、中国人の白楽天は「日本(ニッポン)」、日本の漁師は「日本(にほん)」と発音しています。

この「白楽天」では日本は自然界のもの全てが歌を詠むことが語られます。

具体的にどういうことなのか。

一例として鶯が歌を詠むことが語られます。

ーーーーーーーーーーー

軒端の梅に鶯の来たりて鳴く声を聞けば

「初陽毎朝来(ショヨウマイチョウライ)、

不遭還本栖(フソウゲンポンセイ)」と鳴く

文字に写してこれを見れば三十一文字の詠歌の言葉なりけり

ーーーーーーーーーーー

▶︎ホーホケキョ

ショヨーマイーーーーチョウライ

これを書き写してみると「初陽毎ーーー朝来」

▶︎ホーホケキョ

フソウゲンーーーーポンセイ

漢字で書くと「不遭還ーーー本栖」

これを読みくだしてみると

「初陽毎朝来」

→初春(はつはる)の朝(あした)毎(ごと)には来(きた)れども

「不遭還本栖」

→遭はでぞ還(かえ)る本(もと)の栖(すみか)にと

はつはるの
あしたごとには
きたれども

あわでぞかえる
もとのすみかにと

三十一文字(みそじひともじ)の和歌を詠んでいる!!

まとめると

・音でとらえる

・中国語(がいこくご)で書いてみる

・和歌として詠み下す

・自然界のものは全てが歌を詠む(題材になる)

発音のことなど詳しく知りたい方はメッセージでお知らせください。

日本人的感性というと右脳のイメージで捉えている印象がありますがかなり左脳の言語的な変換がされています。

ーーーー
能「白楽天」

その外、鳥類、畜類の人に類えて歌を詠む

(中略)

生きとし生けるもの

いずれも歌を詠むなり

ーーーーーー

なんだかふわふわっと鳥が歌を歌うのではなく、外国語として捉えて和歌として詠み下す。

能「白楽天」の最後は住吉、伊勢、石清水、賀茂、春日、鹿島、三島、諏訪、熱田、厳島の明神など総動員で神風を吹かせ白楽天を中国まで押し戻します。

昨今、選挙活動で「ニッポンを取り戻せ」と叫んでいる人を見ると、日本、中国いったいどちらの立場なのか交錯してきます。

「日本銀行」のホームページを見ても発音にかんして決まってないですが「NIPPON」寄りと記載があります。

表面的な話の内容と真意はちょっとした言葉の端々に現れます。

※画像はAIで生成しました。

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森澤勇司(もりさわゆうじ) 能楽師小鼓方 1967年東京都生まれ。 テンプル大学在学中に見たこともない能楽界に入門し32歳で独立。 2000番以上の舞台に出演している。 43歳で脳梗塞で入院、 退院後、うつ状態克服のため心理学、脳科学を学ぶ。 復帰後は古典的な能楽公演を中心に活動している。 著書『ビジネス番「風姿花伝」の教え』 明治天皇生誕150年奉納能、 映画「失楽園」、大河ドラマ「秀吉」に 能楽師として出演。 2014年 重要無形文化財能楽保持者に選出される

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曲目目次

あ行 か行 さ行 た行 な/は行 ま/や/ら行
(あ)
藍染川

葵上
阿漕
芦刈
安宅
安達原
敦盛
海士
海人
嵐山
蟻通
淡路

(い)
碇潜

生田敦盛
一角仙人
井筒
岩舟

(う)
鵜飼

浮舟
雨月
右近
歌占
善知鳥
采女

梅枝
雲林院
(え)
江口

江野島

烏帽子折
絵馬
(お)
老松

大江山
鸚鵡小町
大社

小塩
姨捨
大原御幸
小原御幸
女郎花
大蛇
(か)
杜若

景清
花月
柏崎
春日龍神
合浦
葛城
鉄輪
兼平
賀茂
通小町
邯鄲
咸陽宮
(き)
菊慈童

木曾

清経
金札
(く)
草薙
国栖

楠露
九世戸
熊坂
鞍馬天狗
車僧
呉服
黒塚

(け)
現在七面

源氏供養
玄象
絃上
月宮殿

(こ)
恋重荷

項羽
皇帝
高野物狂
小鍛治
小督
小袖曽我
胡蝶

(さ)
西行桜
逆矛

桜川
実盛
三笑

(し)
志賀
七騎落
自然居士
石橋
舎利
俊寛
春栄
俊成忠度
鍾馗
昭君
猩々
正尊
白鬚
代主

(す)
須磨源氏
隅田川
住吉詣

(せ)
西王母
誓願寺
善界
是界
是我意
関寺小町
殺生石
接待
蝉丸
禅師曽我
千手

(そ)
草子洗小町
草紙洗
卒都婆小町
(た)
大会
大典
大般若
大仏供養
大瓶猩々
第六天
當麻
高砂
竹雪
忠信
忠度
龍田
谷行
玉鬘
玉葛
玉井
田村

(ち)
竹生島
張良

(つ)
土蜘蛛
土車
経正
経政
鶴亀
(て)
定家
天鼓

(と)
東岸居士
道成寺
唐船
東方朔
東北
道明寺

木賊
知章

朝長
鳥追船
鳥追
(な)
仲光
難波
奈良詣
(に)
錦木
錦戸
(ぬ)

(ね)
寝覚
(の)
野宮
野守

(は)
白楽天
羽衣
半蔀
橋弁慶
芭蕉
鉢木
花筐
班女

(ひ)
飛雲
檜垣
雲雀山
氷室
百万

(ふ)
富士太鼓
二人静

藤戸
船橋
船弁慶
(ほ)
放下僧
放生川
仏原
(ま)
巻絹
枕慈童
枕慈童(カ
松風
松虫
松山鏡
満仲
(み)
三井寺

通盛
水無月祓
身延
三輪
(む)
六浦
室君
(め)
和布刈
(も)
望月
求塚
紅葉狩
盛久
(や)
屋島
八島
山姥
(ゆ)
夕顔
遊行柳
弓八幡
熊野
湯谷
(よ)
夜討曽我
楊貴妃
養老
吉野静
吉野天人
頼政
弱法師

(ら)

羅生門
(り)
龍虎
輪蔵
(ろ)
籠太鼓