インテリジェンスと霊感ビジネス

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朝は『法華経』譬喩品、『日本書紀』皇極天皇、『聖書』エステル記からヨブ記

昨日は小田全宏先生と茂木健一郎先生の講座に参加。録画には「ピー」がたくさん入るようです。これからAIの時代にはインテリジェンスを持つというお話が印象的でした。

そんな朝に読む『日本書紀』皇極天皇紀には何ともインテリジェンスのないお話が語られてます。

皇極天皇3年(644年)

秋七月、ちょうど本日は旧七月十八日なので今頃の季節です。

富士に住んでいる大生部(おおうべ)多(おお)と云う人が村人たちに「常世(とこよ)の虫」を祭る事をすすめはじめます。

「この虫を祭ると貧しいものは富み、老いたものは若返る」

巫、神職の人たちもそれに乗っかり祝詞を奏上し酒や農作物、家畜を捧げて歌い舞って「常世の虫」を祭ります。

開運グッズの元祖です。

これは大生部多も神職たちもボロ儲けです。

家財を投げ打って求めるものまで出てきて村はあっという間に貧困に陥ります。

見かねた秦河勝は大生部多を処刑します。

神職たちは恐れてエセ神事をしなくなった。

笑い話のような記録ですが現代でも「壺」という代名詞になっているような開運グッズは除霊、パワーストーン、健康グッズ、電磁波やらなんやらさまざまな「常世の虫」が現存してます。

自分の体験からすると楽器は開運グッズや祈祷では全く上達しません。

ここは、稽古、練習しないと何も変わりません。

だからと言って見えないものを全く否定するものではなく上達のお守りや弁財天に参拝もしています。

1番良いのは稽古や練習が上達の儀式になっている事です。神事も祝詞も筋肉を使うもの、やってない事ができるようになる事はありません。

そうは言っても朝起きたら特別な人に生まれ変わっているのではないか、、と期待する事もあるわけです。

参拝や祈願も変な期待感を祓うのにはいいかもしれません。

いつの時代も「常世の虫」を求めている人は多い。

またこの虫もアゲハ蝶の幼虫らしいですが、それ以外の青虫も含めて「大•中•小」とランクをつけて売っていたようにも思えます。

楽しむ開運グッズは気分がよくなるものですが盲信してしまうと成果からは遠ざかります。

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秋七月に東国に不尽川(富士川)の辺の人、大生部多、虫まつる事を村里の人に勧めて曰く

「此は常世の神なり。この神を祭る者は、富と寿を致す」といふ。

巫覡等、遂にあざむきて、神語に託せて曰はく「常世の神を祭らば、貸しき人は富を致し、老いたる人は還りてわかゆ」といふ。

これによりてますます勧めて民の家の財宝を捨てしめ、酒をつらね、菜、六畜を路の側につらねて呼ばしめて曰はく「新しき富入来れり」といふ。

都鄙の人、常世の虫を取りて清座に置きて歌ひ儛ひて福を求めて珍財を棄捨つ。

かつて益す所無くして、損り費ゆること極めて甚だし。

ここに葛野の秦造河勝、民の惑はさるるを悪みて大生部多を打つ。

その巫覡等、恐りて勧め祭ることを休む。時の人、便ち歌を作りて曰はく

太秦は 神とも神と 聞こえ来る
常世の神を 打ちきたますも

この虫は常に橘の樹に生る。あるいは曼椒に生る。

曼椒、これをば褒曾紀(ほそき)と云ふ。

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※画像はAIで生成しました

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森澤勇司(もりさわゆうじ) 能楽師小鼓方 1967年東京都生まれ。 テンプル大学在学中に見たこともない能楽界に入門し32歳で独立。 2000番以上の舞台に出演している。 43歳で脳梗塞で入院、 退院後、うつ状態克服のため心理学、脳科学を学ぶ。 復帰後は古典的な能楽公演を中心に活動している。 著書『ビジネス番「風姿花伝」の教え』 明治天皇生誕150年奉納能、 映画「失楽園」、大河ドラマ「秀吉」に 能楽師として出演。 2014年 重要無形文化財能楽保持者に選出される

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