日本書紀完読会 第4期 6週目感想
20230910
196−231
神日本磐余彦天皇に入る。
ここは本文よりも明治の先入観をなくし、勝者の立場で描かれているという前提で読んでいる。
同じように読んでいても明治時代にできた建国の先入観は根強い。十五歳で太子になっているので王朝は継続している。野球に例えるなら野球部は何十年も続いているが甲子園で優勝したところを〇〇元年と言ってしまうような感覚に近い。
冒頭の1792470年、饒速日の記述に意味を感じる。また東征も殺戮、原住民制圧の記録はアメリカの開拓時代を彷彿とさせる。自分の国の武力自慢や押さえつけたことでしかアイディンティティが持てないとしたら哀れな民族だと思う。文化的、精神的な面で成熟した民族である事を目指したい。そう思いながら読んでいても明治のバイアスは強い。荒れた状況を平和にして自分たちの国を作ってくれたという視座に立ちがちだが、注目するところを逆にして自分たちが襲撃される側だとしたら恐怖にしか感じない。兄猾城や長髄彦が勝利していたら当然、神武天皇は存在せず兄猾城礼賛の歴史ができていただろう。
井光の下は桃太郎や西遊記を連想させる。三国志演義でも劉備玄徳に関羽、張飛、諸葛孔明のような3人がいる。水戸黄門にもかくさん、すけさん、八兵衛。能「安達原」の祐慶一行にも通じる。このような構図は人が求めてしまうものなのかもしれない。
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森澤勇司(もりさわゆうじ)
能楽師小鼓方
1967年東京都生まれ。
テンプル大学在学中に見たこともない能楽界に入門し32歳で独立。
2000番以上の舞台に出演している。
43歳で脳梗塞で入院、
退院後、うつ状態克服のため心理学、脳科学を学ぶ。
復帰後は古典的な能楽公演を中心に活動している。
著書『ビジネス番「風姿花伝」の教え』
明治天皇生誕150年奉納能、
映画「失楽園」、大河ドラマ「秀吉」に
能楽師として出演。
2014年 重要無形文化財能楽保持者に選出される
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