日本語100年の鼓動
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朝活読書 vol.129 2011年1月21日配信
『 日本語100年の鼓動 』
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◆《1》今日の一言
◆《2》今日の一冊
◆《3》編集後記
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◆〈1〉今日の一言 #129
「頑張る?」
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◆〈2〉今日の一冊
『 日本語100年の鼓動 』
日本人なら知っておきたい国語辞典誕生のいきさつ
倉島長正 著
小学館
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著者 倉島長正さんは1936年長野県生まれ、
日本国語大辞典の初版編集長です。
明治4年に発行された「語彙」から
「言海」「大日本国語辞典」「大言海」
「広辞苑」などの編纂にかかわった
国文学者や出版社の方々の歴史が
綴られた一冊です。
「辞苑」「広辞苑」「言苑」「広辞林」
などの書名問題。
一日3語の原稿を作ると
一年で千語の原稿ができます。
「大言海」10万語を50年というのは
物凄い早さだという事が語られている
頁が有ります。
新たな時間とスピードの感覚を
身につけるのにも適した書籍だと思います。
ぜひ読んでください。
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◆〈2〉編集後記
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今日もありがとうございます。
森澤勇司です。
「○○円からお預かりします」と
いう言い回しが巷で多くなってきました。
昨日、とあるお店で支払いを済ませ
領収証を求めたところ
「お名前様は?」
と聞かれました。
変な感じがしていますが、コンビニなど
ではほとんどそうですね。
なにしろ外国人のアルバイトがこれらの
言い回しを使っているという事は
誰かが指導しているとしか思えません。
この「日本語100年の鼓動」という本を
読むと辞典とは用例の集積という一面も
有ることを知りました。
いま私が「お名前様」と使っているのも
用例の一つです。
こうやってこれって変だねと
みんなでいっていると辞書に載せる
必要が出てくるんでしょうね。
否定も含めて使用頻度が上がれば
辞書に載る可能性は高くなります。
そうして次世代の日本語として
定着するのでしょう。
「パパ」「ママ」や「頑張れ」というのも
よく使われますね。
昨今うつ病の方々に「頑張れ」といっては
いけないという事が言われています。
普通の人にもあまり掛けないほうがいい
言葉だと思っています。
辞書では「我を張れ」「眼張れ」の当て字
と説明されているものが多いようです。
辞書の意味はともかく「ガンバレ」は
「無理をしろ」という意味が含まれて
いるように思います。
資金繰りが厳しくなった会社と銀行
「もうちょっと待っていただけませんか」
「頑張ってください。期待してます(笑)」
教授と学生
「もうちょっと待っていただけませんか」
「頑張ってください。きたいしてます(笑)」
同じ会話でもだいぶ感じが変わります。
ゴール前で「ガンバレ!」
スポーツならもう一息のところで
この声援によって、もうひと踏ん張り
できた選手は多いと思います。
日常ではどうでしょう。
「空気を読めるように頑張れ」
「空気を読めるように我を張れ」
なんか変です。
「無理しないように頑張れ」
「無理しないように無理しろ」
これも変です。
もう一息の人には有効ですが
弱っている人にはきつい言葉です。
頑張れるのは一息分、息を止められる
時間だけです。
「家族のために頑張れ」
「国家のために頑張れ」
時期を間違った
「頑張れ」や長期の「頑張れ」は
「折れる」に向かわせる掛け声に
聞こえます。
かわりになる言葉ってなんでしょう。
「しっかり」「今を大切に」なんて
いうのはどうでしょう。
命令形ではないし濁点が入って
いないので言葉がソフトです。
もう一息の人には
「ガンバレ!」がいいでしょうね。
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日本語一〇〇年の鼓動―日本人なら知っておきたい国語辞典誕生のいきさつ/倉島 長正
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