宿曜の判断のもと空の月星座が後ろにある宿でみる
さて今日は能楽の中にもよく出てくる占いの話題です。
皇室でする占いから、三国志の占いまで未来予測や人間ではないものの判断を頼ることは立場や国が変わっても多くの記録の中に残されています。そんななかでも能「鉄輪」にも登場する占星術 二十八宿について考察してみました。
二十八宿でも二十七宿でも自分の生まれた日の月の位置は一つしかありませんから目視した位置で決まるものです。
現代の暦などに表記されている二十八宿、二十七宿は実際の月の位置とは違う暦上の計算された月の位置になります。
目次
検証する日を2019年7月12日20:00に決定!
過去のデータを出すよりも現代の計算で見ていたほうが早いので直近「2019年7月12日20:00東京」という設定にしてみました。
てんびん座のあたりに月があります。
このシミュレーションソフトの精度に関して国立天文台に問い合わせてみると現代から前後300年位の間は実際に近い位置がでるということでした。
天体観測アプリでも同じような位置につきが表示されるのでこの位置は目視の位置として採用します。
二十八宿で言えば「氐宿」にあたります。では27宿はといえばこちらも「氐宿」です。
二十八宿と二十七宿は牛宿が違うだけですから目視で月の位置を確認すれば同じ宿になるのが当然です。
エリアで均等配分な西洋占星術に対して宿は星座と月の関係なので均等ではありません。
計算サイトと開運歴
では計算サイトで計算するとどんな宿になるでしょうか。
二十八宿「牛」、二十七宿「房」とこれ自体がやぎ座と蠍座に含まれるものですから同じ位置を表すとしても随分かけ離れてしまっています。
二十八宿は28を順番に計算するそうなので実際の月とは全く違うものに鳴っています。
二十七宿は月ごとにリセットして積み上げるので大幅にかけ離れることはないようですが実際の月齢とは2日違いますから実際の位置とは変わってしまいます。
7月12日は高島暦では「牛宿」大神神社の暦も「牛宿」になっているので、てんびん座、さそり座、いて座、やぎ座と実際の月とはかなりかけ離れてしまうのでもし二十八宿で占うとすれば九星と同じように計算上のものになりますから本来の月の宿るという意味とは違っているという事がわかります。
計算サイトの名誉のために付け加えておくと、現在の宿を割り出す公式から導き出しているので計算は精度の高いものです。
二十八宿が積み上げ式で決めるような方法なので実際の月と違った宿が算出されるのは暦を決めた方の問題ですから、個人的な希望としては天文台の数式で計算できるようにして実際の月の位置にあった宿が算出できるようになったら素晴らしいと思っています。
西洋占星術のホロスコープ
2019年7月12日20:00のホロスコープは上記のようになります。実際に見えている星座の位置ではありませんが「宮」という考え方になっているので目視できる星座とは違います。テレビの星占いなのでも会話でも「蟹宮」を「カニ座」といってしまうことがありますからここが混同するところです。西洋占星術の星の位置は角度で区切った「宮」です。目視の星座の位置とは現在は違っています。
ですからホロスコープも見えている星座と月の位置が違うと行って間違っているということではありません。
二十八宿、二十七宿で占えるのか?
実際に現在の占いなどでどうやって二十八宿を導き出しているのかというと、西洋占星術の星座を二十八宿に置き換えているのです。
占いのソフトでホロスコープと二十八宿、二十七宿が表示されるものがあるので確認していました。
西洋占星術は「宮」、二十八宿は「星座と月」で見るのですが、なんとこの「宮」を二十八宿の星座に置き換えてしまっています。
当然、「宮」に対応する星座はありませんから、二十八宿でも「星座」とは位置がずれてしまっているわけです。
自分自身の生まれた日が二十八宿のどこに当たるのか生まれた日の「宿」をもとめようとしても占いサイトやソフトでは正確に求められることはほぼできないでしょう。
実際の観測データを調べるか、実際の空をシミュレーションして星座との関係を目視で確認して宿を判断すれば確実です。
日本は星の見えない日もおおいですから天文方は記録が大切な役割だっただろうと推測できます。
二十八宿は使えないのか?
もともと人の宿命を見るために使われていたものですから、アプリやソフトで出すのではなく自分の生まれたときの星座と月の関係がわかれば計算に頼らずに正確な宿がわかります。そのうえで宿曜経の自分の「宿」に起こりうることを予想していけば現代でも十分活用できるものだと思います。
信じる信じないはその人それぞれですから絶対に当たるということはありません。記述に沿った生き方をするのかどうかは本人の選択によるところが大きいものです。
混乱する二十七宿
さてここで混乱するのがインド占星術です。インド占星術の二十七宿は暦の二十七宿ともともとは一緒ですが現在は計算方法が変わっています。目視できる三日月を起点に前後の宿を決めていくようなのでアプリやソフトでも実際の月の位置に近いものが表示されるようです。
そしてインド占星術の星座は、西洋占星術とちがい、生まれた日の時間に東の地平線にかかっている星座を生まれた日の星座になっています。
二十七宿、インド式、日本式、二十八宿なと東洋の占星術は、西洋占星術の「宮」ではなく「星座」というところは共通しています。大都市では星も見えにくくなり月は見えても後ろにある星座まで見るのは特別興味があるひとしかいないのではないかと思います。
目視で判断する世界と計算で判断する世界、世界でのたくさんの占いもありますが、今回は二十八宿に絞ってまとめてみました。
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