蟻と星【蟻通】
4月19日11:00より宝生能楽堂にて「蟻通(ありとおし)」勤めます。
蟻通神社の伝説を題材にした世阿弥の作品です。
紀貫之が旅をしていると突然に大雨が降り馬が全く動かなくなってしまいます。
そこに傘をさし松明を持って現れる神職。
「馬で通り過ぎていなら命を取られてましたよ」と告げます。
暗闇の中よくみると鳥居⛩️の前だった💦
神職は紀貫之に和歌を奉納するように促します。
貫之は咄嗟に和歌をつくり神に奉納します。
「雨雲の
立ち重なれる
夜半(よわ)なれば
蟻と星🌟とは
思ふべきかは」
和歌の徳が語られ、祝詞が奏上され神職は神がかりが解けて消えてゆきます。
その昔、外国の使者が侵略に来た時、法螺貝に糸を通せなければ日本を侵略すると伝えました。
その時に、蟻に糸を結び法螺貝に糸を通したことから蟻通と呼ばれるようになりました。
とはいえ題材になった神社も能も両方が現存している息の長い伝説です。
能は不思議なお話が多いですね。
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森澤勇司(もりさわゆうじ)
能楽師小鼓方
1967年東京都生まれ。
テンプル大学在学中に見たこともない能楽界に入門し32歳で独立。
2000番以上の舞台に出演している。
43歳で脳梗塞で入院、
退院後、うつ状態克服のため心理学、脳科学を学ぶ。
復帰後は古典的な能楽公演を中心に活動している。
著書『ビジネス番「風姿花伝」の教え』
明治天皇生誕150年奉納能、
映画「失楽園」、大河ドラマ「秀吉」に
能楽師として出演。
2014年 重要無形文化財能楽保持者に選出される
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