この人を見よ ECCE HOMO
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朝活読書 vol.141 2011年2月2日配信
『この人を見よ』
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◆《1》今日の一言
◆《2》今日の一冊
◆《3》編集後記
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◆〈1〉今日の一言 #141
「ゴルゴ?」
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◆〈2〉今日の一冊
『この人を見よ』
”ECCE HOMO ”
フリードリヒ・ニーチェ 著
新潮文庫
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著者 ニーチェさん(1844~
1900)はドイツの哲学者です。
”ECCE HOMO”「この人を見よ」は
提督ピラトがキリストの断罪に集まった
群衆に叫んだ言葉だと言われています。
精神錯乱におちいる前年に原稿を書き
死後8年たった1908年に出版された
ニーチェさんの最後の作品です。
この本を一言でいうなら
「卒都婆小町」です。
99才になり落ちぶれた小野小町に深草少将が
乗り移ったように狂気する場面が有ります。
小町「小町の許に通はうよなう」
僧「おことこそ小町よ。
何とて現なき事をば申すぞ」
ニーチェはキリスト教を糾弾していました。
そんなニーチェ自身にキリストが憑依してし
まったのではないかと思ってよめば、あえて
逆説的な内容でキリスト教を肯定しているの
ではないかと思える内容です。
『この本をもって私の
道徳撲滅キャンペーンが開始される。』
『「悲劇の誕生」という著作から語り掛けて
くるのは、一つの巨大な希望である。』
自身の著作の解説で語っています。
能「卒都婆小町」の中には小野小町の
日常は描かれていませんが、
日々何かが憑依しては離れるがごとくの
言動を繰り返していたのではないかと思いま
す。
ニーチェ自身にキリストが憑依したのか、
周囲の人々にピラトが憑依したのか。
小町、少将、僧、和歌
ニーチェ、キリスト、ピラト、ワグナー
脚本を書くのだったら
どういう配役が良いでしょうか。
最後のセリフは
「この人を見よ」
には間違いないでしょう。
ぜひ読んでください。
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◆〈2〉編集後記
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今日もありがとうございます。
森澤勇司です。
『読書とは誰かが傍で喋ったり考えたりする
ことではないだろうか。』ニーチェ
これは全く同感です。
本を開くと音声が頭の中に流れてきます。
ほっておいても字を見れば
音になるというのは実に便利です。
来週「花月」という能を2度勤めます。
この中の道行という部分は「卒都婆小町」と
ほぼおなじ文章です。
「この人を見よ」は友人からプレゼントされたまま
何年も読んでいませんでした。
年末に久しぶりに連絡が有り
「(本を)頂だいたっきり読んでないなぁ」
と思っていたところでした。
友人 → ニーチェ → 卒都婆小町
→ 花月
「この人を見よ」→「たまには連絡しろ」
うまくつながるものですね。
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