高砂の松は目立たない?【高砂】

能楽師 森澤勇司です。

神主が高砂につき高砂の松はどれなのか

近くにいる老人に尋ねる場面です。

「高砂の松とはいづれの木を申し候ぞ」

舞台では松の木の作り物を出すときも一本だけなのですが

 

海辺に松の生えているところは一本だけではないでしょうから

高砂の松はひと目見ても、他の松とは区別がつかない

見かけは普通の松のように感じられます。

 

近くにいた老人が掃き清めている松が

高砂の松だということを聞いて初めて

高砂の松だということが判る場面です。

 

はっきりと言葉にしているわけではない

「なぜその質問をしているのか?」

これは現代の日常でも人の話を理解するときに必要な視点です。

物語の解釈はいろいろですが、

個人的には他の松とくらべて目立ったところのない普通の松が並んでいて

名声のある高砂の松はどれだかわからなかった。

こんな場面だと解釈しています。

さてさて貴方はどんな場面を想像しますか?

感想いただけると嬉しいです
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森澤勇司(もりさわゆうじ) 能楽師小鼓方 1967年東京都生まれ。 テンプル大学在学中に見たこともない能楽界に入門し32歳で独立。 2000番以上の舞台に出演している。 43歳で脳梗塞で入院、 退院後、うつ状態克服のため心理学、脳科学を学ぶ。 復帰後は古典的な能楽公演を中心に活動している。 著書『ビジネス番「風姿花伝」の教え』 明治天皇生誕150年奉納能、 映画「失楽園」、大河ドラマ「秀吉」に 能楽師として出演。 2014年 重要無形文化財能楽保持者に選出される

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