六韜、武韜、第十五、文伐

武力を使わずに敵を征服するにはどうすればよいか

12の方法がある。
※自国を守りたかったらこの12の策に落ちないように対策を作っておく

①争わないこと

①相手の意思に順応して争わない
→相手は傲慢になり国内に不祥事が起こり始める。その機会をまち計略を行き届かせる。

②国王の寵臣を味方につける

国王が信頼を寄せている寵臣と君主の権力を二分させる。人間ひとりの臣下が敵と見方に心を寄せるようになればその国は必ず衰える。

③国王の側近を買収する

国王の側近に賄賂を送り親しくする。敵国の臣下でありながら敵国に心を寄せ始めればその国には害が生じる。

④ハニートラップ

君主の色欲を掻き立てる、宝物、美人をおくり、言葉丁寧に逆らわず言いなりになって調子を合わせておけば争うこともなく自滅していく。

⑤国王よりも忠臣に手厚くする

①相手の国の忠臣を厚遇し、国王への贈り物は減らしていく。
②国王の使者が来た場合はできるだけ長くとどめて早く帰らせないようにする。
③わざと話をはぐらかし本題に入らせないようにする。
→話が進まないので、新しい使者に担当交代される。
④新しい使者には誠意を持って非常に親しく接する。
→相手の国王は前任者を疑い、新任者を手厚くする。

その結果、前任者は不満を持ち結束は崩れる。この策略は抜かりなく確実に進める。

⑥内輪もめの原因を作る

内務をしている臣下に手厚く賂を送り、外務をしている臣下と乖離させる。才能ある外交官が味方国を助け、相手国の中に内輪もめが起こったらどんな国でも滅亡する。

⑦本業を軽視させる

①敵国王に手厚く賂を送る。
②さらに国王が信頼を寄せる側近に、本業を軽視させるようにして財産を使わせる。

⑧たびたび相談をする

相手の国の臣下に賂を手厚くし相手の国の有利になる情報を持ち相談事を持ちかける。国を支える臣下が外国に心を傾けるようであれば国家は衰退する。

⑨褒め上げる

①君主をあることもないこともふくめ褒めきる。いい気持ちにさせ、その威勢を吹聴してまわり相手に従ったふりをする。

②褒めて褒めて虚栄心をあおり言われるままに聖人になったつもりになれば政治はおざなりになり国は滅亡に向かう。

⑩国王に信頼される

①相手の国王にへりくだり信用を得る。さらに意のままにしたがい生死をともにするものであるが如くに思い込ませる。

②信用を得たら徐々に謀略を巡らせて待つ。時期が来れば天が滅ぼしたかのように自滅に向かう。

⑪人事権のある人をとりこむ

①官僚はだれでも高い地位と富を好み、危険なことや災難を嫌う。
その人の弱点を利用し賂を送り褒めその国の人事権のあるものと親しくなる。

②国内の富はあっても外国には貧窮しているように見せる。その間に策謀に長けたものを送り込み計略をたてさせる。

③勇士を送り込み良い部下を持ったと慢心させる。

相手の国の官僚がとみに満足して来れば相手国に、自国の一団が揃ったことになる。

これを「塞ぐ」という。塞がれてしまっては大国も存続できない。

⑫悪臣をなつかせる

相手の国の悪臣に謀反心を起こさせる。美人や賂で心を狂わせ。猟犬、良馬をおくり狩りや遊びで疲れさせる。たてまつり従うように見せて油断をさそう。

天の時、地の利

以上12の策略がすべて準備されてからはじめて兵を動かし攻略に向かう。

天の時を察し、地の利を察する。

滅亡の兆候が現れてはじめて討伐すべきである。

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この記事を書いた人

森澤勇司(もりさわゆうじ)
能楽師小鼓方 1967年東京都生まれ。 テンプル大学在学中に見たこともない能楽界に入門し32歳で独立。 1500番以上の舞台に出演している。 43歳で脳梗塞で入院、 退院後、うつ状態克服のため心理学、脳科学を学ぶ。 復帰後は古典的な能楽公演を中心に活動している。 著書『ビジネス番「風姿花伝」の教え』 明治天皇生誕150年奉納能、 映画「失楽園」、大河ドラマ「秀吉」に 能楽師として出演。 2014年 重要無形文化財能楽保持者に選出される