日本人は「やさしい」のか
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朝活読書 vol.137 2011年1月29日配信
『日本人は「やさしい」のか』
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◆《1》今日の一言
◆《2》今日の一冊
◆《3》編集後記
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◆〈1〉今日の一言 #137
「じつは?」
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◆〈2〉今日の一冊
『日本人は「やさしい」のか』
日本精神史入門
ちくま新書
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著者 竹内整一さんは1946年生まれ。
東京大学文学部助手、専修大学文学部教授を
歴任し鎌倉女子大学教授に就任しています。
3章に分け「やさしさ」
「やさし」という言葉の使われ方を
意味の推移や用例などから研究した
一冊です。
『第一章「やさしさ」の現在』では
尾崎豊、太宰治などが使った「やさしさ」
の意味、ドラマのセリフやポップスの
歌詞に使われている「やさしさ」の数々を
例にあげ意味を探ります。
傷つくことを避ける「やさしさ」
をはじめとする5つの「やさしさ」
現在では7割が親切という意味だと
著者は語っています。
『第2章「やさしさ」の精神史』
この章では時代別に文学作品から
「やさし」の用例を抜粋し考察
されています。
「源氏物語」「万葉集」などの
古典作品に「やさし」という言葉が
ほとんどないことを指摘しています。
「はずかしい」「やせ細るほど」
という使われ方や
日葡辞書には
「節度ある」「じゅうぶん訓育された」
「情味ある」という意味に訳されている
そうです。
(ポルトガル語辞書がないので未確認)
『第三章「やさしさ」の倫理学』では
宗教的祈りとしての「やさしさ」
存在のあり方としての「やさしさ」など
哲学的な考察がされています。
優という字本来の意味を知るにも
お勧めです。
古典作品を読んでいる方には
特におすすめします。
ぜひ読んでください。
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◆〈2〉編集後記
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今日もありがとうございます。
森澤勇司です。
この本の「源氏物語」の引用文の中に
葡萄鬘(えびかずら)とルビが降られた
所が有りました。
葡萄牙で”ポルトガル”
葡萄だったら”ぶどう”
漢字だけでは読めませんね。
この本を読んで思ったことは
古典を読んでいる人とそうでない人
言葉の概念が全く違っているのでは
ないかという事です。
「やさしい」だけでも人によって
ずいぶん違うと思います。
全く逆の意味にとってしまい
会話がチグハグになることも
有ると思います。
『「弱さ」は「強さ」の欠如ではない。』
という松岡正剛さんの言葉が
引用されていました。
「やさしい」の
反対の言葉はなんでしょうか。
「やさしくない」
これは安易ですね。
「いじわる」⇔「いじわるでない」
「つめたい」⇔「つめたくない」(あたたかい)
「こわい」⇔「こわくない」
「やさしく」ないことはどういう事なのか
考えてみると「やさしく」してほしい人が
何を望んでいるのか分かるかもしれませんね。
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